Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2014.03.29,Sat
ぼーっとしてるあいだに、きのうは降って湧いたみたいに暖かくなりました。
陽気というのは降って湧くものではありませんけど、なんかそんな感じです。もうひとつ、降って湧いたようだったのが、このニュース。
▼東京新聞 TOKYO Web:袴田さん48年ぶり釈放 静岡地裁 拘置、耐え難いほど正義に反する(2014年3月28日)
速攻で釈放、というのには驚かされましたけど、こうなると、こちらが気がかり。
▼日テレNEWS24:袴田事件の再審決定、奥西死刑囚に報告(愛知県)(2014年3月27日)
テレビニュースはすぐリンク切れになりますから、無断転載しときましょう。
袴田事件の再審決定、奥西死刑囚に報告
(愛知県)
27日の袴田事件の再審の決定が、名張毒ぶどう酒事件の奥西勝死刑囚に伝えられた。名張毒ぶどう酒事件で、無実を訴えている奥西死刑囚の支援者・稲生昌三さんは、袴田事件の再審開始の決定を静岡地裁で聞いた。その後、東京・八王子市の八王子医療刑務所を訪れ、奥西死刑囚と面会したという。稲生さんは「奥西さんが気力を持って、命をながらえるような気持ちで頑張ってもらいたい。(袴田事件に続いて)再審を1日でも早く切り開く」と話していた。奥西死刑囚は寝たきりの状態で、予断を許さない状況だという。
[ 3/27 19:55 中京テレビ]
それからまた、昨日、拙宅に「名張毒ぶどう酒事件の再審を! 再審をめざす全国支援市民集会」とかいう集まりのちらしのコピーをもってきてくれたかたがあったんですけど、2014年4月6日(日)午後1時30分開会、会場は名古屋市中区栄1-23-13、伏見ライフプラザ五階、鯱城ホール(定員七百八十名)、主催は名張事件愛知守る会、国民救援会愛知県本部、名張事件全国ネット、国民救援会中央本部とのことで、ちらし最下部にある連絡先電話番号はコピー領域からはみ出ているせいで読むことができません。
ついでですから、去年公開された映画の予告篇もどうぞ。
予告篇には当時のニュース映像も挿入されていますが、開始29秒あたりから登場する黒ぶち眼鏡にマスク、白衣姿のお医者さんが桝田敏明先生で、乱歩の生家があった土地の所有者だったかたです。
それにしても、地域住民が警察と示し合わせて口裏を合わせ、打って一丸となって無実の人間を殺人犯に仕立てあげてしまうってんだから、名張ってのはほんとに腐った土地だよな、と思います。
腐っとるのはお役所だけじゃないんよほんまに。
みたいなことも、名張という土地の実態をより鮮明にお伝えするために、「伊賀百筆」第二十四号の漫才に書いたほうがいいかもしれんなあ。
くだんの漫才は現在ただいま、先日ごらんいただきましたように、落語の「一眼国」と乱歩の「孤島の鬼」が出てきたところでストップしており、このあたりはまあ、お役所の常識は世間の非常識、と世に喧伝されているところを面白おかしく述べ立てるためのマクラとなっているわけですが、そのあとは「ドグラ・マグラ」から「脳髄は物を考える処に非ず」という著名なテーゼを引きつつ、お察しどおりのそのまんま、どいつもこいつもここいらの人間はほんとになーんにも考えようとしないんだからなあ、と、このあたりの土地柄をくっきり浮き彫りにする予定となっております。
だったらいっそ、名張毒ぶどう酒事件の話題も盛り込んだほうが、よりアクチュアルな漫才になるわな。
どんな遠いところのひとにも、へーえ、名張ってそんなとこなんだ、ということを実感してもらえるわな。
しかし、たぶん、「伊賀百筆」第二十四号には、漫才載っけてもらえないわな。
とかいってないで、『奇譚』のおはなしですけど、風間賢二さんの『怪奇幻想ミステリーはお好き? その誕生から日本における受容まで』の「はじめに」には、乱歩による探偵小説の定義が引用されてます。
『幻影城』巻頭のこれですけど。
こうしてあらためて眺めてみると、この定義に謎ではなくて秘密ということばを使用してしまったのは、単なる不用意なミスというにとどまらず、トリックの破綻とも呼ぶべきことだったのではないか、と思われてきます。
ここで、『奇譚』全文を対象に、秘密と謎ということばを検索してみると、いったいどんなことになるのか、と思って試みてみましたところ、かなり意外な事実が判明しました。
秘密、ということばは、三十六回、登場してきます。
これは、「古城ノ秘密」といった小説の題名も含めての話ですけど、とにかく三十六回。
いっぽう、謎、ということばは、ただの一度も使用されていません。
おかしいな、ルルーの黄色い部屋が出てきたはずだけど、と思って確認してみたところ、「The Mystery of the Yellow Room」と英語のタイトルで書かれていましたから、これでは検索に引っかかりません。
乱歩が『奇譚』一冊を執筆するにあたって、謎ということばをいっさい使用しなかった、登場させなかった、必要としなかった、という事実は、乱歩による探偵小説の定義を考察するうえで重要な示唆となるものだと思われます。
だからほんと、そういう貴重で重要な資料なんだから、なんとか活字化しなくちゃうそだぞまったく。
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