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Posted by 中 相作 - 2014.02.03,Mon
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高知新聞
 平成26・2014年1月31日 高知新聞社

小社会
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小社会

2014年01月31日08時08分

 江戸川乱歩の短編「鏡地獄」にこんな話が出てくる。金属の鏡に日光を当てて壁に影を映すと、白い丸形の中に、多少形が崩れているが、「寿」という文字が強い光で現れている…。

 魔法のような現象がなぜ起こるのかの説明は省くが、鏡の裏面の文様を映し出す魔鏡だ。中国では紀元前1世紀ごろから作られ、日本では江戸時代に隠れキリシタンが使った十字架やマリア像の現れる鏡が知られる。禁制下での信仰に欠かせなかったのだろう。

 「卑弥呼(ひみこ)の鏡」と呼ばれる三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)がこの魔鏡だったことが分かった。3世紀後半の古墳から出土した三角縁鏡の精巧な複製を使った実験の結果だ。きのうの本紙に掲載された写真でも、壁に浮かび上がった文様が見てとれる。

 古代の人々にとっては鏡そのものが驚きだったはず。理屈を知る現代人でも不思議な魔鏡現象には恐れおののいただろう。魏志倭人伝に「鬼道に仕え、よく衆を惑わす」と記された卑弥呼が、カリスマ性を高める上で重要な役割を果たしたかもしれない。

 複製作りで活躍したのは3Dプリンター。計測データなどを基にしたコンピューター上の設計図に従い、立体物を作り出す装置だ。物づくりの技術が古代史の解明に一役買ったといえる。

 「万能細胞」を簡易に作る世界初の手法の発表もあった。こちらは再生医療の将来への大きな期待につながる。科学技術の役割をあらためて考える。
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