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Posted by 中 相作 - 2013.12.05,Thu
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平成25・2013年12月1日 東京新聞(中日新聞東京本社)
変格探偵小説入門 谷口基著
東雅夫
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変格探偵小説入門 谷口基著
東雅夫
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変格探偵小説入門 谷口 基 著
2013年12月1日
◆挑戦する奇想の表現
[評者]東雅夫=文芸評論家
変格探偵小説とは、謎解きを主眼とする本格探偵小説の対語として、一九二○年代なかばに、作家の甲賀三郎によって命名された言葉である。当時は雑誌「新青年」を拠点に、江戸川乱歩や小酒井不木、横溝正史や夢野久作らが輩出した探偵小説の高揚期であり、その方向性をめぐる議論も活発だった。
しかし、右の四作家の作風を見ても明らかなように、当時の国産探偵小説は、本格よりも変格-怪奇や幻想や猟奇を持ち味とするタイプの作品が主流を占めており、そうした現状を打破すべく提唱されたのが「本格/変格」という区分けであった。本格あっての変格という語感を乱歩などは嫌っていたともいう。
どちらかといえばネガティヴなニュアンスが強いこの用語に、著者は、現代の文芸エンターテインメントへ直結する積極的意義を、新たな観点から見いだそうとする。「『変格』とは戦前探偵小説の挑戦的性質そのものであり、奇想をもってする表現の変格」という言葉に著者の姿勢が端的に表れていよう。
入門を謳(うた)うにはややマニアックな内容だが、それだけに啓発される点も多々ある。とりわけ変格前史というべき谷崎潤一郎や夏目漱石の作品と探偵作家との関係や、実話物や秘境物をめぐる篤実な考察には、日本文学研究のエキスパートたる著者の面目が躍如で、読み応えがある。
(岩波現代全書・2415円)
たにぐち・もとい 1964年生まれ。茨城大准教授。著書『戦前戦後異端文学論』。
◆もう1冊
須永朝彦著『日本幻想文学史』(平凡社ライブラリー)。古代の神話から泉鏡花・谷崎潤一郎ら幻想文学の系譜を追う。
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