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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.11.23,Sat
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Posted by 中 相作 - 2013.11.27,Wed

 お寒うございます。

 寒くなった寒くなったといってるうちに、早くも来年の話です。

 乱歩生誕百二十年を迎える来年、年のはじめのためしとて、ラジオではこんな番組が流れるそうです。


 いっぽう、乱歩生誕地の名張市はどうよ、とかそんなむごいことをあなた、三重県が世界に誇る借金自治体にお尋ねにはならないでくださいね。

 とか思いつつ、とりあえず『奇譚』のポー論、著作権の問題は認識しつつ特定秘密保護法案の採決もかくやといわんばかりな勢いでここにつづきを強行することといたします。

(110)

The Black Cat 猫ノ凄サハ東西変リガナイト見ユル。アル男ガ一匹ノ黒猫ヲ飼ッテ以来狂気ノ様ニ妙ナ精神状態ヲ呈シ。遂ニ妻ヲ殺シテ地下室ノ壁ニ塗リ込ンデ了フ。アル時誤ッテ猫ヲ打ッタノデ猫ハ見悪イ顔ニナル。猫ノ目ガ自分ヲ睨ンデ居ルノヲ見ルト無性ニ気ガ変ニナッテ遂ニ妻ヲ殺マデニ至ッタノダ。妻ヲ壁ニ塗リ込ンダ以来猫ノ姿ガ見エナクナッタ。アル日家ガ焼ケタ。取ルモノモ取敢ヘズ避難シタガ、後ニ焼跡ヲ見ルト壁ニ大キナ猫ノ姿ガ鮮ニ写ッテ居ル。妻ヲ塗リ込メル時猫ガ一緒ニ這入ッタノヲ知ラナカッタノダ。ソノ後何所カラトモナク一匹ノ猫ガ来タガ、飼ッテ居ル内ニ段々相格ガ変ッテ来テ遂ニ前ノ死ンダ猫ソックリニナッテ了フ。ト云フ様ナ筋。コウ書イテ了ッテハ凄クナイガ原文ハ極メテ凄イモノダ。
其他、原文ヲ読マズ訳文ダケ読ンダモノニハ、
モレラ(1) 神秘的ニ沈欝ナル妻ヲ持ッタ。彼女ノ眼ニハ云フニ云ハレヌ凄サガアル。ソノ為ニドウシテモ妻ヲ愛シ得ヌ。妻ハ彼ノ哲学カラ精神ノ不朽ヲ信ジテ居ッタ。ガ、アル時病ニ斃レタ。ソシテソノ時ハ妊ンデ居ッタノ

(1)'Morella'

 「殺マデニ」は「殺スマデニ」。

 「(1)」の注記は地のマージンに記載。

(111)

ダガ、彼女ガ息ヲ引取ルト同時ニソノ児ガ生レル。妻ノ呼吸ノ終ッタ時ガ嬰児ノ呼吸ノ始マッタ時ダ。ソノ子供ガ大キクナルニ随ッテ母ニ似テ来タ。ソノ似方ガ殆ンド母ソノモノナノデ気味悪ク思ッタ。殊ニソノ目ハ母ノ目ダ。遂ニ洗礼ヲ受クベキ日ガ来テ名ヲ附ケネバナラナクナッタ。不思議ニモ何ノ力カアッテ、ソノ時僕ガ夢中デ云ッタ名ハ "モレラ" ! ──母ノ名──
Poe ニ一ツノ癖ガアル。ソレハ一ツノ凄イモノガアッテ。ソレガ死後モ尚他ノ肉体ヲ借リテ現レルト云フ idea ダ。コレハ彼ガ全自我ヲ信ズル為カモ知レナイガ、モレラト云ヒ Black Cat ト云ヒ、其他コウ云フノガ大部アル。
モノストウナトノ対話(1) ズットズット後ノ世ニ生レ替ッタモノストウナノ夫婦ノ対話。始メニ一寸現代ノ澆季ナルヿヲ嘆ジタ所ガアルガ、主眼ハ死ヌ時ノ有様ダ。第六官ガ働キ始メテ宇宙的調和ヲ感得シ。ソノ為ニ不調和ガ馬鹿ニ気ニナル。家内中ノ人ノwatch ノ second ノ間違ッテルノヲ皆ハッキリト知ルヿガ出来タ。ガ之ハ死ニ入ル始リデ、軈テ墓ニ入ルト始メハ worm ノ不気味ヲ感ズルガ、遂ニハ肉体ガ亡セテ自己ト云フ観念ガ space ト云フ観念

(1)The Colloquy of Monos and Una

 「大部」は「大分」の意であろう。

 「(1)」の注記は地のマージンに記載。

(112)

混同シテ、自己ノ観念ハ失セ場所ト時トノ観念ノミトナル。茲ニ於テ自我ハ渾然タル宇宙ソノモノト合スルノダ。彼ノ唯心的傾向ノヨク現レタ作。
楕円形の肖像(3) 楕円形ノ肖像ヲアル古イ屋敷ニ見出ス。見レバ左程巧クモナイノダガ目ダケハ何ウシテモ本当ノ目ダ。生タ目トシカ物ハレヌ。不図一枚ノ書付ヲ見出ス。ソレニハコノ肖像ノ人ハ肖像ガ出来上ッタ瞬間ニ死ンダト書イテアル。ト云フ様ナ筋。
アルンハイムノ地所(1) アル一人。美術ノ真髄ハ庭園(風景)ヲ作ル所ニ現レルト主張スル人ガ或時不時ノ財産数億円ヲ得テ、ソノ理想ヲ実現スルト云フ筋。風景ノ奇シキ理想ガ Poe ニヨッテ書カレテアル。
嘗ッテ谷崎(兄)氏ガ大阪朝日紙上ニ金色ノ死ト題スル一篇ヲ出シタ事ガアル。アレハコレカラ suggestion ヲ得タノデハナイカト思ハレル。
ランドアノ屋敷(2) アルンハイムノ地所ノ続篇。
次ニ Poe ノ短篇ノ未ダ記サヌモノヲ上ゲテ置カウ。(224頁見ヨ)

The Adventure of One Hans Pfaall
The Balloon-Hoax


(1)The Domain of Arnheim
(2)Landor's Cottage
(3)The Oval Portrait

 「生タ目トシカ物ハレヌ」は「生キタ目トシカ思ハレヌ」か。

 注記は地のマージンに記載。

(113)

Von Kempelen and His Discovery
Mesmeric Revelation
The Facts in the Case of M. Valdemar
Ms. Found in a Bottle
The Thousand-and-Second Tale of Scheherazade
The Cask of Amontillado
The Imp of the Perverse
The Angel of the Odd
Mellonta Tauta
Loss of Breath
The Man That Was Used Up

〔以上 The Gold Bug and others 上野 '89 2〕

The Oblong Box
The Man of the Crowd
Some Words with a Mummy

〔以上 Tales of Mystery & Imagination 日比谷 33、506〕
Poe ノ短篇ヲ集メタモノハ、此ニ示シタ二ツノ外、

(114)

Gold Bug(Canterbury classics ノ内)
The Complete Poetical Works of E. A. Poe(早稲田)
E. A. Poe's Tales. A selection with Introduction by T. Hopkins(仝上)
Histoires extraordinaires(仝上)

〔Tales of Mistery モ早稲田ニアリ〕

Tales(1849. N. Y.)
Tales of Mistery
Tales of Mystery, Imagination and Humour; and Poems(1852)
Tales and Sketches and the Raven, a poem(Lond. 1852)
Poetical works; with a Notice of his Life and Geneus; by James Hannay(Lond. '52)
(少シ抜カシタヿガアルカラ次章ノ始リニ書ク)


 あちゃー。

 以前にも記しましたとおり、『奇譚』全二百二十八ページのちょうど半分、百十四ページでポー論が終わるから、なんとかそこまでは大目にみていただいて公開を進めよう、と考えていたのですが、えーい、「次章ノ始リニ書ク」とはなにごとか。

 次章というのは第十章「ホーソーンその他」で、「HAWTHORNE & OTHERS」という章題も大書してあるのに、その下にはさらにポーの話題がつづいているという寸法です。

 つまり、第九章の本文を書くより先に、第十章の章題が書かれてあった、ということになるわけですけど、どうしてそんなことをしたのか、どうもよくわかりません。

 しかし、それはそれとして、ポー論はすべて行っときたい、と思うんですけど。
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