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Posted by 中 相作 - 2013.11.27,Wed
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平成25・2013年11月24日 東京新聞(中日新聞東京本社)
推理小説月旦 澁澤龍彦著
権田萬治
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推理小説月旦 澁澤龍彦著
権田萬治
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推理小説月旦 澁澤 龍彦 著
2013年11月24日
◆心の謎を解く面白さ
[評者]権田萬治=文芸評論家
博学のフランス文学者にして優れた批評家、作家でもあった澁澤龍彦は、マルキ・ド・サドの性の深淵(しんえん)に深い関心を抱き、また、悪魔学、秘密結社など、人間の闇の部分を凝視し続けた人であった。
ミステリーに対しても強い好奇心を持っていたが、本書の表題作「推理小説月旦(げったん)」の中で、自ら“偏見”と認めているように、その批評の視点は「第一に、犯人の主体性擁護、第二に、名探偵とトリック至上主義への反撥(はんぱつ)。第三に、心理よりも深層心理の重視。第四に、ルールと解決の合法則性よりも、言葉の真の意味におけるミステリー性の尊重」という立場からのものであった。
この論集で主に批評の対象にされているのは、ポー、江戸川乱歩、夢野久作、小栗虫太郎、久生十蘭(ひさおじゅうらん)、橘外男、大坪砂男、中井英夫など、個性豊かな独特の作家的宇宙を確立した作家ばかりだが、著者らしい鋭い見方が溢(あふ)れていて面白い。特に「玩具愛好とユートピア-乱歩文学の本質」は、数多い乱歩論の中でも最も優れたものだと私は思っている。
「推理小説はペダンティックなものでなければならない」というのが著者の持論であったが、これは「『謎』以上のもの」の重要性を説いた乱歩の立場とも共通する。ミステリーは単純な謎解き以上の贅沢(ぜいたく)な小説であるということを改めて教えてくれる好評論である。
(深夜叢書社・2520円)
しぶさわ・たつひこ 1928~87年。著書『唐草物語』『快楽主義の哲学』など。
◆もう1冊
澁澤龍彦著『高丘親王航海記』(文春文庫)。唐から海路で天竺(てんじく)へ向かった平安期の親王が見たものは何だったか。
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