Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2010.12.22,Wed
書籍
赫眼
三津田信三
平成21・2009年9月20日初版第一刷 光文社 光文社文庫
A6判 カバー 298ページ 本体533円
文庫オリジナル
関連箇所
合わせ鏡の地獄
p219ー253
初出:未来妖怪 異形コレクション 2008年7月20日 光文社文庫 監修:井上雅彦
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合わせ鏡の地獄
江戸川乱歩の短篇に「鏡地獄」という作品がある。
あるとき五、六人で集まって怖い話や奇妙な話をしていると、最後にKという人物が友達の体験を話しはじめた。
幼い頃から彼は、物の姿が映るものなら何にでも興味を持っていた。硝子でもレンズでも鏡でも、とにかく虚像が映るものに心を惹かれた。そのうち自分で鏡を使った仕掛けまで作り出し、そこに異様な光景を映してはKを驚かせていた。
やがて二人は中学校へ進学するが、物理の授業がはじまると、彼はレンズや鏡の理論に夢中になる。その結果、それまで以上に奇妙な仕掛け作りに凝り出し、日常では到底お目にかかれない像を現出させ、独りで悦に入っていた。
そんな折、資産家だった両親が相次いで死去する。財産を自由にできるようになった彼は、庭の隅に実験室を建て、ありとあらゆる鏡を運び込むと研究に没頭し出す。だが、そのうち実験室だけでは飽き足らず、庭に硝子工場まで造り、その中でとんでもない試みをはじめることになるのだが……。
という鏡の魔力に憑かれた男の狂気を、鬼気迫る筆致で描いた怪奇短篇である。僕は乱歩作品の中でも五指に入る傑作だと思っている。遅筆で知られた乱歩が一晩で書き上げたというだけあって、文章には狂気的とも言える並々ならぬ熱気が籠っており、それが男の悪夢的なある計画を描くうえで、実に素晴らしい効果を発揮しているからだ。
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光文社:赫眼
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