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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.11.23,Sat
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Posted by 中 相作 - 2013.11.24,Sun

 『奇譚』の件でございますが、ほんとに乱歩蔵びらきの会が出すの? とか、もしかしたらあの出版社から? とか、名張市が出したら? とか、ごくたまに、なにかの連絡のついでに、お尋ねをいただくことがあるんですけど、いまだ海のものとも山のものともつかぬおはなしで、なにも決まってはおりません。

 ただまあ、乱歩生誕百二十年を記念して名張市が発行する、ということはありません。

 ありません、というか、とても無理です。

 無理な理由はいくつもいくつもありますけど、代表的なことをひとつだけあげておくと、財政難という問題があります。

 先日、まちBBSの伊賀市の板で、こんなやりとりがありました。

 【忍者】伊賀市ってどうよ!?PART9【芭蕉】:280-281

 ネタになってたのは、朝日新聞のこの記事です。

 朝日新聞デジタル:借金返済の割合 県平均0.6ポイント改善(2013年11月14日)

 といったって尻切れとんぼ、のみならず画像も小さくて見づらいですから、記事にある表のスキャン画像を掲載しておきます。


 三重県内二十九の市と町の決算をまとめた表ですけど、実質公債費比率では名張市が一七・七%で第一位、おとなりの伊賀市が一三・九%で第二位と、伊賀地域の二市が堂々のツートップでした。

 大丈夫か。

 実質公債費比率というのは、収入のうちどれくらいが借金の返済にまわるか、ということを示す数字で、ざっとしたところはこちらでどうぞ。

 Wikipedia:地方財政
 総務省:早期健全化基準と財政再生基準

 総務省のページから引用しときましょう。

●実質公債費比率
 早期健全化基準については、市町村・都道府県とも、地方債協議・許可制度において一般単独事業の許可が制限される基準であった25%とされています。
 財政再生基準は、市町村・都道府県とも、地方債協議・許可制度において、公共事業等の許可が制限される基準であった35%とされています。

●将来負担比率
 早期健全化基準については、実質公債費比率の早期健全化基準に相当する将来負担額の水準と平均的な地方債の償還年数を勘案し、市町村は 350%、都道府県及び政令市は400%とされています。
なお、将来負担比率では、財政再生基準は設けられていません。

 実質公債費比率が一八%を超えると、新たな借金をするためには国や都道府県の許可が必要になります。

 名張市の場合、それが一七・七%だというのですから、なかなかのものです。

 これが将来負担比率となると、名張市は三重県内でただひとつ、二〇〇の大台にとどいた二〇九・七%という突出ぶり。

 伊賀市も第三位に食い込んで、名張市には及ばぬものの一一四・〇%と、あなどりがたい健闘ぶり。

 伊賀市と名張市をあわせたエリアがいわゆる伊賀地域、昔の伊賀国なんですけど、財政難がもう半端ありません。

 大丈夫か。

 しかも伊賀市と来た日には、お金のかかるハード事業がいろいろ押し寄せてるみたいです。

 まずダム。

 伊賀タウン情報YOU:「ダム利水に頼らない方が費用高い」 伊賀市水道部が説明(2013年11月12日)

 市庁舎。

 伊賀タウン情報YOU:最終答申は2案併記へ 伊賀市の庁舎整備計画検討委(2013年11月19日)

 消防庁舎。

 伊賀タウン情報YOU:建設予定地に推定活断層 伊賀市の新消防庁舎 旧上野商高跡地で(2013年11月20日)

 ダムならびに水道。

 伊賀タウン情報YOU:水道計画の見直し結果 12月1日に市民説明 伊賀市(2013年11月20日)

 水道もしくは芭蕉翁記念館。

 伊賀タウン情報YOU:桃青中跡地に事業計画が集中 水道部が上野北部配水池の移設計画(2013年11月21日)

 図書館。

 伊賀タウン情報YOU:候補地は選定せず 事務局は5か所提示 伊賀市の新図書館検討委(2013年11月21日)

 大丈夫か。

 大丈夫ではないかもしれんな。

 名張市といい、伊賀市といい、結構やばい財政状況をこうして数字で示されたりなんかしてしまうと、これから伊賀地域に住もうと考えるひとなんかいなくなるかもしれんし、げんに住んでるひとも伊賀地域からの脱出を真剣に考えはじめるかもしれん。

 そういえば、きょうになってこんなツイートも。


 いやー、柔の道に生命をかけた男の意地が火ともえるような衰退一直線ではないか。

 したがいまして、全国の乱歩ファンのみなさんにはまことに申しわけないんですけど、名張市にはどのような期待もお寄せいただきませんよう、ここにあらかじめお願いを申しあげておく次第です。

 しかも名張市の場合、財政の問題以外に、お役所のみなさんがすこぶるあれである、という致命的な問題もあります。

 「伊賀百筆」第二十三号の漫才にも書きましたけど、このあたりのみなさんには、ものを考える、という習慣がありませんゆえ、乱歩生誕百二十年だからといって、まともな事業はとてもできません。

 それはもう、ほんとにそうなの。

 だいたいが、乱歩関連資料の総本山たるべき名張市立図書館にしたところで、じつは資料収集のことなんてこれっぽっちも理解できてないんですから、生誕百二十年だろうが八十万年だろうが、みたいなことは来年出る「伊賀百筆」第二十四号の漫才で徹底的に問題にすることにして、少なくとも名張市が発行することだけはないと断言できる『奇譚』の件、ポー論のつづきを進めたいと思います。

(99)

(2)DETECTIVE & CRYPTOGRAPHY.
コノ方面デ知ッテ居ル彼ノ作ハ Gold Bug, Rue Morgue, Marie Rogêt, Purloined Letter(1)デアルガ後二者ハ未ダ読ンデ居ラヌ。
Gold Bug アル人ガ海岸デ金ノ虫ヲ拾フ。ソレヲ包ンダ皮ヲ火ニ当テルト暗号文ガ出ル。ソノ暗号ヲ解ク所ニコノ小説ノ全興味ガカヽル。ガソノ巧ミナル事ハ実ニ驚クベキモノガアル。多少知的ニ傾イタ僕ノ頭ハコレヲ読ンダ時痙攣ヲ起ス程ノ興味ヲ感ジタ。彼ノ暗号ヲ解クベキ鍵ハ只 E ノ字ガ英語中最モ多ク使ヒラレルト云フ一点ニ過ギヌ。気味ノヨイ Deduction ガソレニ続イテ、長文ノ暗号ガ苦モナク解ケル所ハ何ト形容スルコトモ出来ヌ。本当ニ息モツゲヌ面白サダ。ソノ文ハ、
A good glass in the Bishop's hotel in the Devil's seat--twenty-one degrees and thirteen minutes--northeast and by north--main branch seventh limb east side--shoot from the left eye of the death's-head --a bee line from the tree through the shot fifty feet out.
コレダケノモノヲヨクモ E ノ一字カラ解キ得ルモノダ。

(1)及 "cryptography"

 「hotel」は「hostel」。

 「twenty-one」は「forty-one」。

 以上、「黄金虫」の邦訳でも英文でそのまま記されていますから、比較的楽に対照することができました。

 ほかにも、語頭の大文字やハイフンの使用などに異同がみられますが、とりあえず原文のままです。

 「(1)」の追記は地のマージンに記載。

(100)

Gold Bug is the most intellectual novel of these which ever written ! ト叫ビ度クナル。
Gold Bug ハ 1842 年 Philadelphia デ書カレ、翌年 Graham's Magazine ニ出ス為ニ $52 デ買ハレタ。然ルニ主筆 George Graham ハ愚カニモコノ金玉ノ文ヲ掲載ノ価値ナシトシテ Poe ニ突キ返シタ。コウ云ウ事ハ文学者ノ歴史ニヨクアルヿダ。コレニ挫折シテ了フヿハ少シモナイ。盲千人ノ世ノ中ダ。
恰カモ其頃、Doller Newspaper ガ $100 ヲ懸ケテ小説ヲ募ッタノデ Poe ハ返サレタ原稿ヲ之ニ投ジタ。同誌ノ editor ハ N. P. Willis 及 Joseph Sailer 氏デアッタガ流石ニ明ガアッタト見エ、Gold Bug ハ当選シタ。ソシテ 1843 年六月二十二日ト二十九日ト両度ニ掲載セラレタ。コレガ最初書物トナッタノハ N. Y. カラ Tales by E. A. Poe ト題シテ出版サレタモノデアル。コンナ episode モアルノダ。〔Gildemeister's Canterbury Classics ヨリ〕
The Murder in the Rue Morgue
Paris デ主人公 Dupin ト友達ニナッタ人ノ手記体ニナッテ居ル。

(101)

始リ-episode トシテ Dupin ノ deduction ガ書カレテアルガ、ソレハ友達ノ目ノ付ケ所ヲ見テ居ッテソノ心中ヲ察スルノデ、コノ辺リ Doyle ノ Holmes ヨリモ深イ所ガアル。然ルニ Doyle ハコノ episode ヲ攻撃ノ材料ニシテ居ルノハソノ意ヲ得ヌ。何ト云ッテモ Poe ハ Doyle ヨリモ天才デス。御覧ナサイ E ノ字ヲ暗号解釈ノ鍵トスルヿ、毎篇ノ始メニ episode ヲ挿レルヿ、其他 Doyle ハ大分 Poe ヲ真似テ居ルデハアリマセンカ。事件ハ殺人ガ犯サレタニモ不拘ズ何ノ手掛リモナイ。而モ殺人ノ行ハレタ室ハ戸モ窓モ内部カラ錠ガ下シテアル。煙突ハ狭クテ人ノ出入リハ出来ヌ。コレヲ Dupin ガ見テ突然 Orang outang ヲ捕ヘタ所有者ハ来談ト云フ広告ヲ出ス。コノ辺リ面白イ。新聞ノ記事ヲ余リ沢山出シタノハ普通ノ読者ニハチト不向キデアラウ。
The Mistery of Marie Rogêt 同ジク Dupin ノ探偵談。
The Purloined Letter 同上。(224頁)
Cryptography Gold Bug ト似タル暗号解釈法。未ダ読マズ。
以上ノ五ツヲ Detective story of E. A. Poe ト云フ

 「Orang outang」は「orangutan」。

(102)

六片本ニシタノガ丸善ニ来テ居ッタ。(大正五、三、廿八)

 「六片本」というのは、たぶん六ペンス本とかいうやつのことで、六ペンス本のことは北村薫さんがどこかにお書きになっていたはずなのですが、どこで読んだのであったか、どうにも思い出せません。

 ご存じのかた、いらっしゃいませんか。

 というところで、第八章「エドガー・アラン・ポー」はおしまい。

 つづいて第九章「続・ポー」となります。
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