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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.11.23,Sat
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Posted by 中 相作 - 2013.11.23,Sat

 例のもの、またちょっとだけ、本文を流し込んでみました。


 新聞記事をスクラップしてみてわかったんですけど、やはり本のサイズが小さい。

 実際に『奇譚』を本にするときには、新聞記事が原寸で貼りつけられる大きさにするべきだと思います。

 そのためには、やっぱ『奇譚』の現物をスキャンする必要があるわけですが、とりあえず原稿をつくる作業を進めます。

 で、いよいよポーです。

(89)

BOOK III.
POE & OTHERS

(90)

NOTICE.
[是レヨリノ順序ハ我読書ノ順序ニ非ラザル事ヲ記セ。]

(91)

CHAPTER 8
EDGER ALLAN POE.

SILENCE

There are some qualities-some incorporate things,
That have a double life, which thus is made
A type of that twin entity which springs
From matter and light, evinced in solid and shade.
There is a two-fold Silence-sea and shore-
Body and soul. One dwells in lonely places,
Newly with grass o'ergrown; some solemn graces,
Some human memories and tearful lore,
Render him terrorless: his name's “No More,”
He is the corporate Silence: dread him not!
No power hath he of evil in himself;
But should some urgent fate (untimely lot!)
Bring thee to meet his shadow (nameless elf,
That haunteth the lone regions where hath trod
No foot of man,) commend thyself to God!
──FROM POE'S POEMS.──

コレヨリ後ガ僕ノ最モ詳シク書キタイ所ダ。

 冒頭にポーの詩が引用されてます。

 東京創元社版全集に収録された「ソネット──沈黙」の訳を掲げておきます。

 訳者は福永武彦、入沢康夫の連名になっていますが、たぶん入沢康夫。

ある種の質──ある種の合成質が存在する。
  それは二重の生を持ち、その故にそれは
物質と光とから発生し固体と影とにおいて
  具現されるあの双子のような本質の典型をなしている。
二つの面を持った沈黙がある──海と浜辺──
  肉体と霊魂。草の新たに生い茂った淋しい場所に
  棲んでいるものがある。神の恵みと、人の記憶と
涙に満ちた知識の力は それを恐ろしいものでは
なくしているのだが、その名前は「もはやない」。
それは沈黙の化身だ こわがることはない!
  その身に 邪悪な力をそなえてはいないのだから。
だが 何かさし迫った運命(時ならぬ因縁!)に導かれて
  その影に(人跡未踏の荒涼の地を
うろつきまわる名なしの精に)出くわすことになった場合は
神に 自らをゆだねるがよい!

 では、つづけます。

(92)

(1)POE'S INFLUENCE.
Gold Bug ヲ書イタノガ 1842 年ダカラ Edger Allan Poe ガ米国ニ孤々ノ声ヲ上ゲタノハ今カラザット百年前ノ事ダ。島村抱月ガ彼ヲ評シテ恐怖ノ詩人死ノ詩人廃滅ノ詩人秘密ノ詩人暗黒ノ詩人官能ノ詩人芳烈ノ詩人ト云ッタノハ当ッテ居ル。Swedenborg カ Wiliam Blake ガ近代的ノ形ヲ取ッタ再来ト云フモ不可デナイ。彼等ニ見ル神秘主義象徴主義ヲ近世文学上ノ花ト咲カセル源ハ実ニ Poe ニ在ッタ。神秘ハ Poe ノ生命デ凄惨ハ Poe ソノモノデアル。僕ハ Curious novel ノ最モ高尚ナル実例ヲ Poe ニ見出ス。Poe ノ思想ハ前ニ上ゲタ Silence ノ詩ニモ現レテ居ルガ、尚彼ハ斯ウ云ッテ居ル。

"The real things of the world would affect me like visions, and only so; while the wild ideas of the land of dreams became in turn not only the feeding ground of my daily existence, but positively the sole and entire existence itself."


 「孤々ノ声」ハ「呱々ノ声」。

 英文の引用はポーの「ベレニス」ですが、ちょっと検索してネット上の「Berenice」と対照してみると、いささかの異同がみられます。

 ウィキペディアからたどった「Full Text of the first printing, from the Southern Literary Messenger, 1835」の当該部分は、こんな感じ。

The realities of the world affected me as visions, and as visions only, while the wild ideas of the land of dreams became, in turn, — not the material of my every-day existence — but in very deed that existence utterly and solely in itself.

 乱歩による引用の典拠はなにか、ということはまったくわかりません。

 ちなみに、東京創元社版全集の「ベレニス」の当該パートは、大岡昇平の訳でこうなってます。

この世の現実は私には幻として、ただ幻としてのみ、働きかけた。そのかわりに、夢の国の奇怪な観念が──毎日の生活の糧どころではなく──実質的に唯一完全な生活自身になったのである。

 なんだかよくわかりませんから、当該パートを含む段落を引用。

 この部屋で私は生れた。こうして、非存在のように見えながら、実際にはそうではない長い夜から眼をさますとすぐ、妖精の国──想像の宮殿──僧院の思想と学問の未知の領域に入ったのだから──私がびっくりしたような、熱心な眼で自分の周囲を見廻したとしても──そして少年時を書物の間で過し、青春を夢想に浪費したとしても不思議ではない。ただ月日が流れ、壮年の域に達しても、なお私が先祖達の館に住んでいるということが不思議なのだ。さらに奇怪なのは、私の生活の源に一種の渋滞が生じていることである。私のごく普通の思考の中に、完全な顛倒が起っているということである。この世の現実は私には幻として、ただ幻としてのみ、働きかけた。そのかわりに、夢の国の奇怪な観念が──毎日の生活の糧どころではなく──実質的に唯一完全な生活自身になったのである。

 では、つづけます。

(93)

彼ノ思想ノ眩惑ハ茲ニ存スル。
彼ハ若イ頃仲々ノ道楽者デアッタソウナ。彼ニハ美シイ妻君ガ有ッタガ、ソレガ若クシテ逝ッタ相ダ。ソノ悲シミカラ彼ノ Ligeia ナドガ現レタノダ相ナ。
彼ハ文学界ノ流星ノ如ク突トシテ物質的ナル米国ニ現レタ。ソシテ瞬時ニシテ彼ノ生命ハ亡セタ。ガ流星ノ引ク尾ノ永ク光ル様ニ、彼ノ思想ハ次デ来ル時代ニ滲浸シタ。神秘主義象徴主義ノ詩人ニシテソノ作品ニ彼ノ色ノ交ッテ居ラヌモノハナイ。
Wild ノ Dorian Gray ニハ William Wilson ノ灰色ガ交ッテ居ル。Andreiyeff ノ血笑記(1)(二葉亭四迷訳)ニハ Masque of the Red Death ノ血ノ色ガ交ッテ居ル。Maeterlink ノ運命感ハ Poe ヲ一歩モ出デナイト極言スル人サヘアル相ダ。音ガ色ヲ持ツト云ッタノハ仏ノ象徴詩人アルツール、ラムボオガ始メテダト云フガ Poe ノモノストウナノ対話中ニ已ニ之ガ有ル様ダ。
Poe ハ自我ヲ無限ニ拡大シタ。精神ハ肉体ヲ支配シ無機界サヘモ左右スルト云フ僕ノ信念ト此点ニ一致ヲ見出ス。コノ点ニ於テ彼ハ独

(1)"The Red Laugh"

 「Andreiyeff」は、一般的には「Andreev」と表記されるようです。

 「Maeterlink」は「Maeterlinck」。

(94)

ノ Fichte ノ思想ヲ享ケテ居ル。只異ル所ハ Fichte ノ自我ハ determined ニシテ moral ナルニ反シ彼ノ自我ハ indetermined, mystic ナル点ニ存スル。コヽガ彼ノ特徴デアル。
米国辺リノ批評家ハ Poe ト Hawthorne トヲ比較シ前者ヲ外的後者ヲ内的トナス相ナガ。ドウモ左様断定スルノハ厭ダ。後者ニ前者ノ眩惑ト凄惨ヲ見出シ得ルカ。
Poe ノ作品ヲ精神ト物質ノ二ニ分ツコトガ出来ル。大部分前者ニ属スルガ、只 Dupin ノ探偵談ノミハ後者ニ属スル。精神方面ハ以上ニ大体述ベタカラ次ニ物質方面ニ於テ彼ノ影響ガ如何ニ後世ニ及ンダカヲ記サネバナラヌ。
彼ノ最モ有力ナル後継者ガ英国ニ現レタ。Conan Doyle ガ夫レダ。彼ハ Poe ノ Dupin ヲ批評シテ次ノ如ク言ッテ居ルガ、而モ彼ガ Poe ヲ似真タ事ヲ否ム訳ニハ行カヌ。似真タト云フノガ不当ナラバ影響ヲ受ケタト言ハウ。

WATSON "You remind me of Poe's Dupin. I had no idea that such individuals did exist outside of stories."
HOLMES "No doubt you think that you are complimenting me to Dupin.


 「indetermined」は「undetermined」だと思います。

 「似真」は「真似」。

 「that you are complimenting me to Dupin」は、ネット上で公開されている各種の文献によれば「that you are complimenting me in comparing me to Dupin」。

(95)

Now, in my opinion, Dupin was a very inferior fellow. That trick of his of breaking in on his friend's thoughts with an apropos remark, after a quarter of an hour's silence is really very showy and superficial. He had some analytical genius, no doubt; but he was by no means such a phenomenon as Poe appeared to imagine."(FROM Study in Scarlet.)

流石ニ急所ヲ突イタ批評デアル。然シ Holmes ダトテ showy デナイトハ云ヘヌ。余計ナコトヲセヌトハ云ヘヌ。Mark Twain ノ Double Barreled Detective ハ Doyle ヲコノ点デ諷シ得テ得ル。Detective story ノ妙ハ showy ナ所ニアルノダカラ仕方ガナイ。只 Poe ヨリモ Doyle ノ簡単ヲ喜ブ丈ケハ事実デアル。探偵小説トシテハ Doyle ガ或ハ勝ッテ居ルデアラウ。
次ニ Poe ノ物質的方面ニ似タ小説家ヲ上ゲル。コノ内 Poe ノ影響ヲ受ケテ居ルモノガ少クナイト思フ。

1 Detective Stories ──
 Boisgobey, Fleeman,


 「得テ得ル」は「得テ居ル」でしょう。

 「Fleeman」は「Freeman」。

(96)

 Gaboriau, AK. Green,
 Hawthorne, Reade,
 De Quincey("The Avenger", for example)
 Thompson("The Unfathomable Mystery" in "Centeola")
2 Treasure Stories
 Stevenson(Treasure Island ノ外ニ
 Treasure of Franchard, Merry Men 等)
 H. H. Jackson(Nelly's Silver Mine)
 Kingsley(Westward Ho!)
 Hawthorne(Peter Goldthwaite's Treasure)
 Dumas(Black Turip)
3 Gems or Jewels
 Collins(Moonstone)
 Hawthorne(The Great Carbuncle)
 Thackeray(The Great Hoggarty Diamond)
 Verne(1000 Leagues Under the Sea)

〔以上ハ Theda Gildemeister 編 Canterbury Classics 中 The Gold Bug ヨリ抜ク。本書ニハコノ外児童用ノ Curious novel 多ク掲ゲアリ好参考書タラン。コノ外ノ項目丈ケ上グレバ。Piracy, Life in English School, Reference for Cryptography コハ是非モ一度読

(日比谷、Gold Bug. 35. 355)後ノ㐧194頁ヲ見ヨ

 「Thompson」はつまびらかならず、「Centeola」も意味不明。

 「1000 Leagues」は「Twenty Thousand Leagues」ではないかと思います。

(97)

マネバナラヌ。Picture Writing, Dog Story,(コノ内ニ Dog of Flanders - Ouida 作等ヲ含ム), Showing Negro Fidelity, Courage, etc〕

4 Scientific novels
 Verne, Wells
5 Exploratory novels and others
 Haggard, Corelli

────────
僕ハ理想ニ近イ探偵小説ヲ Doyle ト Poe ニ見出ス。Du Boisgobey 素ヨリ語ルニ足ラズ。Gaboriau ト虽モ未ダ幼稚タルヲ免レズ(足跡ハ已ニ幼稚ダ)更ニ近クニ目ヲ転ジテ Sexton Blake 妙ナラズ、モリス、ルブラン行文ノ妙ハアレド Doyle ノ wit ナク、Leroux ルブランニ及バズ、僕ノ読ンダ範囲デ Doyle ヲ出ヅルモノハナイ Poe ヲ出ヅルモノハナイ。以上デ一先ヅ Poe ノ大体論ヲ終ル、未ダ書クコトハアルノダガ忙グノデ略スル。
序ニ Poe ノ評論ヲ上ゲテ置カウ。其他ソレニ関スルモノ。

Woodberry : Life of Poe

〔in "American Men of Letters" Series〕

Higginson : Short Studies of American Authors
Poe's Letter in New York


(98)

Poe's letter in South
 〃 〃 〃 Philadelphia
Poe's Opinion of the Raven
Legendary Years of Poe
Poe's William Wilson

又近頃出タノニ著者ハ忘レタガ

Edger Allan Poe ト云フノガアル。

尚 本間久四郎ノ名著新訳

谷崎精二ノ赤キ死ノ仮面
失名氏ノ渦巻

等ニ Poe ノ略評ガ載ッテ居ル。

E. A. Poe's Complete Works。

三百頁計ノ本ガ十数冊、中ニ短篇小説、詩、書簡、諸文学者ノ批評所記等ヲ含ム。上野図書館ニアリ。

 本日は以上でございます。

 さて、おはなしすっかり変わりまして、全国から名張のまちに十万人が参集する、ともいわれているこのイベントですが。

 圏際・食彩・文化祭 ~ご当地グルメでまちおこしin名張~:Home

 どちらさまも、よろしかったらぜひどうぞ。

 なにしろわれらが名張のまち、ふだんはとても閑散としていて、先日お知らせ申しあげたエントリのつづきがこれなんですけど、まあこんな感じです。

 香ばしい町並みブログ ~昭和レトロな町並み~:【三重県・名張市】上本町サンロードの昭和なアーケード その2(2013年11月15日)

 そうかと思うと、こんなふうなご紹介もいただいております。

 大和浪漫:江戸川 乱歩と名張(2013年11月20日)
 大和浪漫:江戸川乱歩生誕地碑広場へ(2013年11月21日)
 大和浪漫:二銭銅貨って?(2013年11月22日)

 そうかと思うと、名張市を代表する観光スポット、赤目四十八滝の紅葉はいまやみごろのようです。

 SankeiBiz:紅葉と名瀑が織りなす極上の眺め 三重県名張市「赤目四十八滝」(2013年11月17日)
 朝日新聞デジタル:染まる 赤目渓谷(2013年11月22日)

 どちらさまも、よろしかったらぜひお出かけください。

 ついでながら、「伊賀百筆」第二十三号もよろしくどうぞ。

 毎日jp:地域文芸誌:「伊賀百筆」最新の23号刊行 戦後間もない時代の息吹 回覧誌「パルナッスの丘」を特集 /三重(2013年11月23日)

 さ、どこへも出かけずに『奇譚』で遊ぼっと。
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