Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2013.08.30,Fri
暑い暑いといってるあいだに、8月もそろそろおしまいです。
当地もさすがに涼しくなって、きょうなどいいお湿りもありましたが、というか、台風十五号があす夜にも九州上陸か、というあんばいですけど、いかがお過ごしでしょうか。
暑さ寒さには関係なく、と話題はいきなり変わりますが、本や雑誌が高くなったのには驚かされます。
地元資本の本屋さんへ、取り寄せてもらった商品を受け取りに出向いたところ、わずか二冊だというのに、五千円札でお釣りが出ない、つか、足りない、みたいなことになって、驚いてしまいました。
二冊というのは、論創社の『北洋探偵小説選』と、岩波書店の「文学」7、8月号。
前者にかんしては、北洋って、だれ? といった状態ですし、後者にかんしては、「文学」って、一冊二千二百円? といったところです。
そーりゃ五千円じゃ足んねーわ、つか、ほぼ六千円が飛んじまうわ。
しかも、この「文学」7、8月号は、いったいなんなんだろうな。
浅草の特集をやってる、と聞き及んだものですから、岩波書店の公式サイトをみてみました。
▼岩波書店:文学
「浅草と文学」ってんだから、たぶん乱歩も出てくるだろうな、ほかには出てこなくたって、堀切直人さんの「浅草に魅せられた文学者たち」には確実に出てくるだろうな、と踏んで、不見転で取り寄せを依頼しました。
しかし、届いた「文学」に眼を通したところ、「浅草に魅せられた文学者たち」には乱歩のらの字も出てきません。
久保田万太郎、石川啄木、室生犀星、川端康成、高見順、といったところは顔を出しますが、乱歩はいっさい出てきません。
厳密にいえば冒頭、最初の段落に松村喜雄『乱歩おじさん』からの引用がありますから、乱歩という字は出てきとるわけですが、乱歩への言及はいっさいありません。
なんなんだろうな。
そうかと思うと、巻頭の座談会「浅草を語る」で、歌舞伎がご専門の児玉竜一さんがこんなことをおっしゃってます。
江戸川乱歩の『陰獣』でも、最初のほうで死体が、ポンポン蒸気の発着場のトイレの中から見つかる、あれはすごく怖い。浅草の水辺の怪異をみごとにとらえた、乱歩の視点の卓抜さを感じます。
あそこはたしかに印象に残るシーンで、隠亡堀に通じるような演劇性が感じられる、といえないでもない、と思われ、しかも、水死体の髪の毛をつかんでひっぱると、それがずるずる頭皮からはがれた、といったあたりも不気味でぞっとさせられたことを思い出しました。
浅草といえば、文春文庫の8月の新刊、鹿島茂さんの『渋沢栄一』を読んでたら、下巻の最初のほうに乱歩の名前が、やはり浅草がらみで出てきました。
「此年[注・明治二十三年]大倉喜八郎等と計り浅草公園内にパノラマ館を建設し、仏国人バートランド及びサルジェントの画きたる北米南北戦争のパノラマを一般の観覧に供す。我国パノラマ館の嚆矢なり」
なんと浅草公園のパノラマ館、江戸川乱歩や小栗虫太郎にインスピレーションを与えたパノラマ館もまた渋沢栄一の発起・出資になるものだったのである。
そういうことだそうです。
この本ですけど。
▼文藝春秋:渋沢栄一 下 論語篇
城山三郎の『雄気堂々』あたりとは比較にならんほどの読みごたえ、時代の混沌から渋沢栄一というひとつの思想が鮮やかに立ち現れてくる印象があって、まだ読み終えてないんですけど、渋沢栄一ファンはぜひどうぞ。
でもって、「文学」の浅草特集でがっかりした乱歩ファンは、お口直しに、こちらの浅草編でもいかがでしょうか。
お口直しに、とか、浅草編でも、とか、そんなこといってたら叱られてしまいますけど。
▼2013年8月1日:乱歩で散歩
さて、「文学」7、8月号の倍以上の厚さなのに気になるお値段は半分以下という「小説現代」9月号、買いました報告を続々と、といったって三人のかたからですが、メールで頂戴しております。
▼講談社BOOK倶楽部:小説現代
乱歩がらみの記事を載せたら売りあげが伸びた、みたいなことになったら、講談社で新たな乱歩関連企画が動き出すかもしれません、といったことはほぼありえないと思われますが、よろしかったらお買い求めください。
と書いて、また忘れてしまった、ということを思い出しました。
本屋さんで『黒い塔の恐怖』を探すの、また忘れた。
この件ですけど。
▼2013年8月13日:『乱歩で散歩』丸ノ内編・第6回 >『黒い塔の恐怖』の恐怖(2013年8月27日)
と書いて、えらい間違いに気がつきました。
この「『黒い塔の恐怖』の恐怖」というコメント、投稿するエントリを間違えているではありませんか。
ほんとはこのエントリのコメントでした。
▼2013年8月26日:乱歩支えた大事な人々/三重県鳥羽市(上)
暑さのせいなんだか、単にばかなんだか、いったいなにをしておったのやら。
あとで誤爆の訂正をコメントすることにして、とにかくこの本のことですけど。
▼東京創元社:黒い塔の恐怖
買わなきゃな、とは思いつつ、本屋さんではついつい忘れてきょうに至ったわけですけど、いま本棚を調べてみた結果、創元推理文庫の『カー短編集』、1から3まではありました。
ありましたけど、ほとんど読んでないと思います。
わずかに読んだはずの作品も、内容はきれいに忘れてしまってます。
というか、この三冊、いったいなに考えて買い込んだのやら、と不思議な気がしないでもありません。
で、東京創元社の公式サイトで確認してみた結果、『カー短編集』の1から3は、現行の『カー短編全集』の1から3と同内容であることがわかりました。
いつ『カー短編集』から『カー短編全集』に衣替えしたのかはわかりませんけど、4以降もひきつづき購入しとけば、『江戸川乱歩著書目録』で『黒い塔の恐怖』を見落とすこともなかったものを、と嘆きつつ『東京創元社文庫解説総目録』で調べてみたところ、『カー短編集』は1から3でひとまず完結し、そのあと『幽霊射手』『黒い塔の恐怖』『ヴァンパイアの塔』といった続刊が『カー短編全集』として発行されて、それにともなって『カー短編集』の1から3がそれぞれ『不可能犯罪捜査課』『魔の森の家』『パリから来た紳士』と改題されたようです。
とにかく早く買ってこなくちゃな、とは思い、しかし本屋さんへ行くたびに忘れて帰ってきてるわけですけど、たったいま東京創元社のサイトで確認してみたら、『黒い塔の恐怖』は「在庫なし」になっとるやないか。
ならば、とアマゾンで古書を検索してみたところ、平気で二千五百円とかしとるやないか。
くそったれがー、とか思いつつ、超割安価格四百七十円のをボチッたったぞ。
商品が到着したら、当ブログに『江戸川乱歩著書目録』の補遺として記載したいと思います。
ここでいいわけに入りますと、書誌には見落としがつきものです。
ですから、新しいのが出たらそれを増補し、見落としに気がついたらそれを追補する、という作業は、おおげさにいえば永遠につづけられなければならないわけで、そういえば以前、中島河太郎先生にお会いしたとき、正宗白鳥の研究者でもいらっしゃった先生は、その当時でも国立国会図書館に足を運び、新聞や雑誌に掲載された白鳥の文章をチェックしていらっしゃるとのことでした。
「そうすると、やっぱり出てくるんだよね、見落としていたものが。出版のあてはないんだけど、これはやっておかなくちゃいけない仕事だと思ってね」
という中島先生のことばがとても印象的だったことをおぼえておりますけど、乱歩にかんしていえば、そうした見落としを地道にひろってゆく作業は、どうしたって名張市立図書館が手がけるべきだというのが衆目の一致するところだと思われますけど、とか書いてて、ああ、まーた頭痛くなってきたんですけど、そういえば、もう8月もおしまいだというのに、いかんいかん、「伊賀百筆」用の漫才がほとんど進んでおらんやないか。
ここまでは、できてます。
ただし、公開中の最後のページはボツとし、「僕の図書館戦争」というタイトルだけ残して、名張ロータリークラブが乱歩の銅像つくってくれましたあッ、という話題で漫才を再開したんですけど、これがはかどってないの。
全然なの。
やっぱ、あほらしく、なってくんのね。
以前、2010年に書きはじめた漫才も、書いてる途中であほらしくなって投げ出してしまったんですけど、それを引き継いだこんどの漫才も、やっぱ書いてるとあほらしくなってくるわけです。
しかし、もう、そんなこともいってらんねーし。
「伊賀百筆」の編集部からは、あのまったくわけがわかんなかった乱歩騒動はいったいなんだったのか、ちゃんと記録しとくように、とのご慫慂をいただいてるわけですが、それはたしかに必要なことで、うすらばかが寄ってたかって話を無茶苦茶にしといたあげく、いまやしれっと知らん顔、みたいなことになってますから、いったいなにがあったのか、どこで間違ったのか、どうすりゃよかったのか、といったあたりを明らかにし、今後の参考として紙媒体で公開することは欠かせない作業でしょう。
かてて加えて、それよりさらに重要なテーマとして、名張市立図書館の乱歩関連資料の収集がどうなるのか、というのがあって、いやもうどうもこうも、手前どもはなにも考えないことにしております、手前どもはできるだけ働かないようにしております、といった融通無碍な公務員の世界において、主体性放棄と当事者意識ゼロの王道を驀進するみなさんに、いまさらなにいってやったって無駄だよね、だからもう、こうなったら市長責任だよね、というところまで私はたどりついてるわけですけど、しかし、
「こんどの館長さんは、乱歩のことをちゃんとしてくれるひとなんですか」
ということばを耳にしたあの日から、そうだよな、館長が代わったことに期待を寄せてくれてるひとがある以上、その期待をむげに踏みにじるわけにはいかねーよな、と思ったのがこのエントリあたりのことでした。
▼2013年7月16日:平井通は二度死ぬ
それからなんとなく、暑さのせいもあって、ずるずるほったらかしにしてきたんですけど、しかし、もう、そんなこともいってらんねーしな。
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