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Posted by 中 相作 - 2013.08.22,Thu
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平成25・2013年8月19日 常陽リビング社
謎解きは読者とのコミュニケーション
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2013年8月19日(月)
謎解きは読者とのコミュニケーション
第59回 江戸川乱歩賞を受賞した 竹吉優輔(たけよし ゆうすけ)さん
今年5月、3度目の挑戦で見事、第59回江戸川乱歩賞を受賞した竹吉優輔さん(取手市、32歳)は、大学受験から始まった挫折を糧に一時は諦めかけた作家への思いを病床で再燃。「もう一度夢に挑戦しよう」と28歳で初めて応募し、牛久市の図書館司書の仕事をしながら2年ごとに作品を書き上げては吉報を待った。そして、その受賞作がこのほど『襲名犯』のタイトルで発売され、念願だった作家デビューを果たす。
勤務する牛久市立中央図書館には竹吉さんのおすすめ本特設コーナーがある
「やったーっと飛び上がるほどうれしかったのと同時に、もしかしてドッキリかもと心配になりました」
その吉報は5月13日に届いた。午前中で仕事を切り上げ、自宅で家族と友人と一緒に待った。
江戸川乱歩賞は、推理作家・江戸川乱歩の寄付を基金として日本推理作家協会(旧日本探偵作家クラブ)が1954年に制定した文学賞で、これまでに東野圭吾さんや桐野夏生さんなど人気作家を多数輩出。昨年は同じ茨城県出身の高野史緒さんが受賞し、出版された『カラマーゾフの妹』はベストセラーとなり先輩作家として活躍している。
その仲間入りを果たした受賞作品は、連続猟奇殺人を題材にした『ブージャム狩り』。
タイトルはイギリス人の詩人で『不思議の国のアリス』の原作者としても知られるルイス・キャロルの作品に出てくる怪物「ブージャム」から引用した。
朝夕の通勤時間、車のハンドルを握りながらじっくり構想を練り約1年で一気に書き上げた物語は、ブージャムと呼ばれた男が6人を殺害して死刑になるシーンから始まる。一部の人にカリスマ視されていた彼の模倣犯が現れ、新たに小指を切断された女性の惨殺体が発見されるというストーリー。
猟奇殺人を題材にしたのは「不条理を乗り越える物語にしたかったから」。そして、読みどころは「陰惨な事件に立ち向かう人間描写。冒頭とラストで違う主人公の心の変化をくみ取ってもらえれば―」。
祖母と過ごした小さい頃、一緒にいろいろな本を読み、読む本がなくなると即興で物語を作って遊んだ。自然に将来は物語を作る仕事がしたいと子供心に思い描くようになり、そばにはいつも本があった。
高校生になるとチャップリンの映画にもひかれるようになり、コメディータッチのシナリオを書いたこともある。「自分にとってはコメディーもミステリーも同じように奥が深い。今もチャップリンは憧れの存在」。
◇ ◇ ◇
そんな高校生活を終えて迎えた大学受験は失敗。一浪して合格し、さらに大学院まで進んで村上春樹を研究テーマに選び物語への理解を深めた。卒業後の希望は公務員だったが、試験は不合格に終わり大手自動車会社に就職。心機一転して仕事に励んだもののほどなく体調を崩し、1年後には長期入院を余儀なくされた。
「なぜこうもうまくいかないのか―」。
傷心のベッドにあるとき、脳裏に浮かんだのは大学時代に自分と同じように作家を目指して1歩先を歩いていた友人の姿や、漠然とした作家への憧れを胸に短編小説を書いていた自分自身。病気療養は、迷っていた自分の心をリセットする貴重な時間でもあった。
退院後、病院を舞台にした長編小説を書き、江戸川乱歩賞に応募。結果は一次通過に終わったが、その後も2年に1作品のペースで書き、3度目の挑戦で398作品の中から栄冠を手中にした。
◇ ◇ ◇
今月6日、講談社から出版されたデビュー作
選評は酷評も多かったが「ときどきギラリと光る表現に感心させられた」「伝えたい気持ちが一番強い作品」などのコメントが寄せられた。
受賞の実感は、編集者から出版の連絡が入り具体的に作業が進むにつれじわじわとわいてきた。出版するに当たり、最も編集に時間をかけたのは物語の山場はどこかという点。そこからタイトルが『襲名犯』に決まった。
「ミステリーの謎解きは作者と読者のコミュニケーションだと思います。謎が解け、頭の中が真っ白になっている時に印象的な文章がすっと入ったりする。それは、いきなり背負い投げを食らったようなミステリーならではの感動だと思います」
江戸川乱歩賞の授賞式は9月6日、東京で行われる。
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