Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2013.07.19,Fri
苦労話でございます。
というか、ありていに申せば、前宣伝でございます。
藍峯舎の『屋根裏の散歩者』、今月下旬の刊行となっております。
▼株式会社藍峯舎:Home
ネット上にはなんか反応があるのであろうか、と思って検索してみると、いきなりこんなツイートが。
『屋根裏の散歩者』、中国の方より予約が入りました。ありがとうございます。
— 古書きとら (@kosho_kitora) July 15, 2013
「中国の方より予約が入りました」というのは、なんかすごいと思います。
中国ったって、岡山とか広島とか、あのあたりじゃないでしょうから、とかベタなこといってると『屋根裏の散歩者』の売れ行きに影響が出るかもしれませんので、やや専門的な話題をつづりましょう。
平井通がつくった真珠社豆本『屋根裏の散歩者』は、池田満寿夫のオリジナルエッチング十点を収めていることで知られますが、昭和34年、西暦でいえば1959年の4月に発行されて以来、収録の池田作品にはこの豆本でしか接することができない状態がつづいていました。
しかし、2002年5月、信濃毎日新聞社が『池田満寿夫全豆本版画集』を発行し、真珠社豆本を彩った池田満寿夫作品全点がデジタルプリントでよみがえりましたので、遅ればせながらそれを知り、へーえ、とか思った私は2005年の夏7月、『池田満寿夫全豆本版画集』を所蔵している京都精華大学の情報館へ足を運び、現物を実見してまいりました。
それはどんなものであったか、かつてウェブサイトに記したところから引きますと──
復刻といっても豆本そのままの姿ではなく、池田満寿夫のエッチングが添えられた見開きだけを拡大して製版印刷、製本はせず作品ごとに函に入れ、その九つの函をワンセットとして帙に納めたというしろものですから、大学図書館スタッフのお姉さんが「はい、これです」と持ってきてくれたときにはその大きさに驚かされました。ちなみに直方体をなす帙のサイズは縦二七・六センチ、横二一センチ、高さ一四センチ、ぱかっと開いたところはこんな塩梅。
いちばん上に乗っかってるのが『屋根裏の散歩者』の函で、このなかにセイコーエプソンのピエゾグラフという技法でデジタルプリントされた池田満寿夫作品が一枚一枚、「屋根裏の散歩者」の解説を記したものなども含めれば合計十四枚が収められています。その一枚目、つまり表紙に相当するものはこんな塩梅。
つまり、要するに、この『池田満寿夫全豆本版画集』では「屋根裏の散歩者」を通読することができないわけです。
その点、藍峯舎版『屋根裏の散歩者』には「屋根裏の散歩者」が最初から最後まですべて収録されていますから、池田満寿夫のエッチングと乱歩の小説がどちらもたっぷり堪能できます。
しかし、「屋根裏の散歩者」を読みたいんだったら、夏向けに西瓜のカバーがかけられた新潮文庫『江戸川乱歩傑作選』か、あるいは、「伊賀百筆」用の漫才から引きますと、
「両手の人差し指を口につっこんで唇を思いきり左右にひっぱりながら岩波文庫とゆうてみてもどうしてもいわなみうんことしかいえないあの岩波文庫の岩波書店です」
でおなじみの岩波文庫『江戸川乱歩短篇集』なんかを買えばいいのではないか、とお思いのかたもいらっしゃるかもしれませんけど、それはほんとにそのとおりなのよね。
いやいや、こんなこといってたら前宣伝になりませんけど、乱歩の小説はいいとして、みどころはやはり池田満寿夫のエッチング十点が最新最高の印刷技術でよみがえる、といったあたりになりましょうか。
池田満寿夫作品はいったいどんな感じなのか、ごらんいただきたいと思って、京都精華大学の情報館でカラーコピーしてきた『池田満寿夫全豆本版画集』収録の「屋根裏の散歩者」を探してみたのですが、どこへしまったんだかわかんなくなってしまってました。
ようある話ですが、どうかご容赦ください。
なんてことじゃ前宣伝にもなんにもなりゃしませんが、とにかく近日発売の豪華本『屋根裏の散歩者』、どうぞご期待ください。
ですから、えーっとまあ、名張市民のみなさんも、郷土が生んだ乱歩の豪華本、購入をご検討いただければまことにありがたく存じます。
無理ならいいです。
以上、前宣伝でございました。
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