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Posted by 中 相作 - 2013.04.04,Thu

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BOOK asahi.com
 平成25・2013年3月30日 朝日新聞社

名古屋の市立図書館が90周年 独自の企画展開催
 上田真由美
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名古屋の市立図書館が90周年 独自の企画展開催


[文]上田真由美  [掲載]2013年03月30日




入り口の正面にある展示スペースと企画した鈴木崇文さん=名古屋市西区の山田図書館


 今年10月、名古屋市に市立図書館ができて90周年を迎える。電子書籍の普及や活字離れの中、市の北西端にある小さな市立図書館が、独自に企画展「名古屋市図書館90周年 過去・現在・未来へ」を始めた。

 展示を始めたのは、西区の山田図書館。西区役所山田支所の建物が新しくなった時に、同じ建物の3階に2005年にオープンした。市内21館のうち最も小さいクラスだ。

 入り口正面にある展示スペースに、市の図書館の歩みを示す年表と解説付きの写真パネルが並ぶ。展示スペースは幅4メートル弱。100枚あるパネルは収まらず、並べられたのは30枚。残り70枚は自由に閲覧できるよう、重ねて置いてある。

 現在は鶴舞中央図書館(同市昭和区)となっている最初の市立名古屋図書館は1923(大正12)年にできた。ところが木造の本館は45年3月19日の名古屋大空襲で焼失。それでも4カ月半後の8月1日には焼け残った一室で貸し出しを始め、2週間後に終戦をむかえると、市民が殺到した。

 一方、現在の西図書館の前身は福沢諭吉の門下生だった銀行家が25年、より一般人に身近な図書館を目指して財団法人名古屋公衆図書館として設置し、39年に名古屋市に寄贈した。

 棚には、市の図書館が登場する本が並べられている。作家・城山三郎が亡き妻をしのんで書いたエッセー「そうか、もう君はいないのか」には、戦後まもないある朝、名古屋公衆図書館前で赤いワンピースを着た妻と運命的な出会いをしたことがつづられている。また、江戸川乱歩の「幽鬼の塔」にも、たった1行だが市立図書館で調べものをしたくだりが登場する。

 山田図書館は規模の小ささを補おうと、企画に力を入れてきた。例えば2012年度は誕生200年のグリム童話、濃尾地震、iPS細胞など、その時期の話題に合わせて月ごとに展示を続けてきた。市全体の90周年記念事業に先駆けた独自の展示もその流れだ。

 担当した司書の鈴木崇文さん(37)は、資料集めの過程で、戦後も、企業や篤志家からの寄贈で分館が増えていったことを知った。「時代の中で図書館が果たしてきた役割が輝いて見えた」と言う。

 いま、名古屋市の図書館はインターネットでの予約受け付けもしており、利用実態も変わってきた。11年度の利用者数は、市内計335万人余りと微増傾向にあるものの、鈴木さんは、利用者は市民の一部に過ぎないとも感じている。

 「紙の本が当たり前ではない時代が来るかもしれない今、図書館の歴史そのものを知ってもらい、これからはどんな形がふさわしいのか、考えてみてほしい」と鈴木さんは話す。

 山田図書館での展示は来月上旬まで(月曜休館)。問い合わせは同館(052・503・5340)へ。


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