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平成25・2013年3月9日 日刊現代
「ビブリア古書堂の事件手帖4」が話題 三上延氏に聞く
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【HOT Interview】
【書籍・書評】
2013年3月9日 掲載
「子ども時代に親しんだ乱歩を思い出すきっかけにしてほしい」
<乱歩作品そのものが謎解きの鍵>
シリーズ累計470万部を突破し、2012年の年間ベストセラー文庫総合1位を獲得し、現在TVドラマも大人気の「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ。先月、第4巻「ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔」(メディアワークス 570円)が刊行されたばかりの三上延氏に、読みどころを語ってもらった。
物語の語り手は、抜群の古書知識を持つ若き美人店主・篠川栞子のもとで働く、ビブリア古書堂のアルバイトの五浦大輔。
第4巻では、江戸川乱歩の膨大なコレクションを買い取る条件として、コレクションの持ち主が残した謎を解いてほしいという依頼を受け、ふたりで始めるのだが、乱歩作品そのものが謎解きの鍵となる古書ミステリーに仕上がっている。
「昔から好きだった江戸川乱歩を、以前からこのシリーズで取り上げたいと思っていました。でも、子供向けの作品から、幻想的な作品や怪奇的な作品まである乱歩の世界を網羅するには前回までの短編ではとてもおさまらないので、今回は長編で乱歩に挑戦したんですが、ネタが豊富すぎて取捨選択するのに苦労しました」
本書は、「孤島の鬼」「少年探偵団」「押絵と旅する男」の3章構成。それぞれの章タイトルは江戸川乱歩作品の表題から引用されている。
実は、三上氏自身が古書店勤務の経験があり、古書知識がもともと豊富なうえに、執筆にあたって改めて調べなおしたというだけあって、本の装丁や当時販促で配られた付録、出版社の変遷、あまり知られていない幻の作品など、乱歩の世界の深みにはまるエピソードが満載だ。
「本シリーズを書くヒントになったのは、紀田順一郎氏の『古本屋探偵の事件簿』という古書ミステリーです。『ビブリア――』では探偵役に内気な美人店主を設定したわけですが、まさか書き始めた当初はこんなに続くとは思いもしませんでした。今回テーマにした乱歩は、『少年探偵団シリーズ』など、むかし夢中になって読んだ方も多いのではないでしょうか。子ども時代に親しんだ乱歩を思い出すきっかけにしていただけたらうれしいですね」
3章のタイトルとなった作品のほかにも、「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「黄金仮面」「怪人二十面相」「魔法人形」「塔上の奇術師」「人間椅子」など、昔懐かしい作品が随所に顔を出す。本書と併せて乱歩作品を再読するのもお勧めだ。
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