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平成25・2013年3月7日 朝日新聞社
三上延の「ビブリア古書堂」、乱歩に挑む
山田優
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[掲載]2013年03月07日
著者:三上延 出版社:アスキー・メディアワークス 価格:¥ 599
三上延(えん)の人気シリーズ『ビブリア古書堂の事件手帖(てちょう)』の第4巻が刊行された。古書店主が古書を巡る謎を解くミステリー小説。今回は、江戸川乱歩の古書の謎に挑む。古書店でアルバイト経験がある三上ならではの、乱歩のエピソードが詰まった作品だ。
シリーズの舞台は、神奈川・鎌倉の「ビブリア古書堂」。古書に関する幅広い知識を持ち、人見知りの篠川栞子(しおりこ)と、体質的に本が読めないアルバイト五浦大輔が古書にまつわる謎に挑む。今回は「乱歩のコレクターが残した金庫を開けてほしい」という依頼が飛び込む。「少年探偵団」や「押絵(おしえ)と旅する男」などの名作が謎を解く鍵になる。
「江戸川乱歩は日本のミステリーの基礎を築いた魅力的な作家。前々から採り上げようと思っていた」。3巻までは短編連作だったが、4巻は長編にして乱歩を存分に盛り込んだ。
乱歩の資料を読み始めたのが昨年5月。調べてみると「初めて知る興味深いエピソードばかり」で、資料調べに数カ月かかった。「乱歩の本は微妙に装丁が変わっていて、いつどのように変わったのかを調べるのに、実物を入手しないとわからないことが多かった」。簡単に手に入らない資料は国会図書館で閲覧。ない時は古書店やネット古書店などを探し回った。
古書を題材にした作品は、長年温めていた。2002年、ライトノベルの賞をきっかけに作家デビューした三上だが、それまでは落選続き。小説家を諦めかけていたころの約3年間、古書店でアルバイトをした。本気で古書店員になることを目指していたこともある。
作品には、実際に起きた古書にまつわる事件も登場する。「登場人物はフィクションでも、古書にまつわる話は事実に近いものを書こうと思っている」。古書の魅力を手触りまで含めて伝わるように意識して。
そんなリアリティーもあってか、シリーズ1巻は11年に発売され、ミリオンセラーに。4巻までの累計は470万部。現在、連続ドラマがフジテレビ系で放映中だ。
「この作品で古書を楽しんでもらい、ほかの本も読んでもらうきっかけになればいいですね」(山田優)
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