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平成25・2013年2月24日 毎日新聞社
作家にきく:三上延さん
篠口純子
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毎日小学生新聞 2013年02月24日
◇自分が読んで面白い本をミステリーに
神奈川県の北鎌倉にある古書店を舞台に、古書にまつわる謎を解き明かすミステリー小説「ビブリア古書堂の事件手帖」。シリーズ累計470万部を突破し、ドラマも放送中す。待望の4巻「ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~」が22日に発売されました。著者の三上延さんに話を聞きました。【篠口純子】
◇古書店での経験を書きたくて
--作品を書いたきっかけは。
三上さん 20代後半に古書店で3年間勤務していました。小説家としてデビューして退職したのですが、いつかその時の経験を書きたいと思っていました。ただ、古書を題材にどんな話にすればいいか分からず、ずっと保留になっていたんです。いくつか考えた中で、古書をめぐるミステリーを思いつきました。
--毎回、さまざまな本が登場します。今回は江戸川乱歩。これまでに太宰治や藤子不二雄、絵本と幅広いジャンルの本を取り上げています。
三上さん 3巻を書いた時に、次は江戸川乱歩を取り上げることを決めていました。どの作品を取り上げるかは、自分が面白いと思うかどうかです。その作品を読んでいない人にも楽しんでもらいたいから。あとはミステリーとして成り立つか。文献など資料を調べ、ストーリーを考えます。調べて、ボツになったネタも多いです。
--主人公の栞子や大輔のモデルはいますか。
三上さん なるべくモデルは作らないようにしています。あえて挙げるなら、栞子も大輔も自分の一部が反映されています。栞子の本好きな部分。古本屋で働き始めて右も左も分からない大輔。自分も古本屋でよく失敗しました。二人の中間にいるような感覚です。
◇読むことが大好き
--本の虫だと聞きました。
三上さん 2~3歳の頃には一人で絵本を読んでいたそうです。小学生の時に読んだ松谷みよ子さんの「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズは、こわいエピソードが多くて印象に残っています。江戸川乱歩の「少年探偵団」、マンガも手当たり次第読みました。好きなものがあったほうが人生は楽しいです。
--作家になりたいと思ったのは。
三上さん 中学生の頃から小説を書いていました。高校で文芸部に入り、人に読んでもらうようになりました。もっと若い頃に華々しくデビューしている作家を想像していましたが、今の自分とは違います。でも、今の自分が一番好きです。
☆ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~(アスキー・メディアワークス、599円)
「ビブリア古書堂」の店主、篠川栞子は極度の人見知りですが、古書に関する知識は右に出る者がいないほど。栞子と活字恐怖症のアルバイトの五浦大輔が、江戸川乱歩の古書をめぐる謎に挑みます。今回の依頼者は、10年以上前に姿を消した栞子の母、智恵子を知る人物でした。
■プロフィル■
1971年、神奈川県横浜市生まれ。10歳で藤沢市に転居。鎌倉市の県立高校へ進学。藤沢市の中古レコード店で2年、古書店で3年アルバイト勤務。2002年、「ダーク・バイオレッツ」で作家デビュー。
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