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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.11.25,Mon
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Posted by 中 相作 - 2013.02.27,Wed

 もうすぐ3月、ってんで、そろそろ年度末の飲み会の季節ですけど、24日の日曜にひとつやっつけましたところ、ばかみたいに飲み過ぎてへろへろになってしまい、月曜はもちろんきのうの火曜まで調子が変でした。

 

 気をつけたいものです。

 

 さて、すでに一冊、お送りいただいてあるのですが、本屋さんにもそろそろ並ぶころだと思われます。

 

 二年半になんなんとするインターバルを置いて、『横溝正史研究』の最新号が出ました。

 

 内容はこちらでご確認ください。

 

 戎光祥出版:『横溝正史研究』4

 

 それでまあ、私もご指名をいただいて雑魚のとと混じりとあいなった次第ですが、目次をつらつらながめておりますと、やっぱ、浮いてるな、という気がしてきます。

 

 私の腰折れは一応、論考ということにしていただいてるわけですけど、じつは論考とか、あるいは研究とか、はたまた評論とか、そんな高尚なものでは全然なくて、なんといえばいいのか、しいていえば、実話読みもの、みたいな感じでしょうか。

 

 ですから、目次をながめてるだけで、あ、浮いてるな、ということがすぐわかります。

 

 だいたいが、タイトルからして、

 

 「陰獣」から「双生児」ができる話―一九三〇年代前夜の正史と乱歩―

 

 ってんですから、なんだかふざけてます。

 

 じつはこれ、いつでしたか、横溝正史生誕地碑建立記念イベントでしゃべったことのごく一部を、あまり紙幅がありませんでしたゆえ結構あっさりとラフスケッチしただけの内容で、論考、研究、評論、といった言葉から連想される厳密な実証性とはあまり縁がなく、なんていうのか、やっぱ、実話読みもの、と呼ぶしかないしろものだと思います。

 

 自分はやっぱ、基本、いろもの系なんだなと、あらためて実感いたしました。

 

 なにしろ、挫折した漫才作家ですから。

 

 それにしても、寄席にいろものは不可欠ですけど、かりそめにも研究と銘打った出版物に、はたしていろものが必要なのかどうか、考えると悩ましくなりますからあまり考えないようにしたいと思いますけど、あんまりなことしてるとどっかから叱られてしまうかもしれんなあ。

 

 それから、藍峯舎の第二弾『屋根裏の散歩者』にもれなくついてくる実話読みもののほうはといいますと、これもむろん紙幅の制限はあるのですが、とりあえずあるだけの材料つかってたったかたったか書くことにしてみたところ、まあ長くなること長くなること、乱歩の記録によれば「屋根裏の散歩者」は七十七枚の作品なんですが、おまけの実話読みものがそれに迫ろうかという勢いなんですからたまりません。

 

 しかも、なんか、バランスがわるいの。

 

 平井通という人間の人生を俯瞰してみますと、誕生は明治33年のこと、少年時代から青年時代にかけて名古屋、東京、朝鮮、大阪を転々とし、やがて結婚して両親の家を出るわけですけど、そこまでは『貼雑年譜』にもとづいてきわめて克明に跡づけられます。

 

 転居のあとだけでなく、「中央少年」に掲載された通の「テイテツ」を根拠として、どうも子供のころから退嬰的な性格だったらしいな、とあたりをつけることも可能です。

 

 なおかつ、通の初婚は従来、昭和2年ということにされてたわけですけど、『貼雑年譜』に書きこまれた乱歩の記録と、『子不語の夢』に収められた不木書簡から判断して、通の結婚は大正14年の2月か3月である、という新説を立てることにいたしました。

 

 しかし、結婚して家を出たとたん、消息がふっつり途絶えてしまいます。

 

 家を出てどこに所帯をもったのか、まずそれが不明なわけです。

 

 むろん判明していることもあって、いわゆる風俗文献の世界で名を知られはじめ、ところが脊椎カリエスにかかって療養生活を余儀なくされ、妻の実家があった滋賀県甲賀郡に転居して療養し、病が癒えたあと上京して巣鴨に古本屋を開業し、といった事実が手許の資料から知られるわけですが、おおげさにいえば諸説紛々で情報が錯綜し、少年時代にくらべるとずいぶんぼんやりしたことしかわかりません。

 

 戦後のことも同様で、再婚だか再々婚だかよくわかりませんけど、とにかく結婚して勤め人生活を送ったあと、壺中庵と称して古書の通信販売を手がけ、さらには真珠社を起こして『屋根裏の散歩者』をはじめとした豆本づくりに精魂を傾けるわけですが、ここらのこともわからないことだらけといってよろしく、つまり明治から大正にかけてのことがもっともはっきりしてるというバランスのわるさはどうよ、とかぶつぶついってないで、本日はここまでといたします。

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