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平成25・2013年2月8日 産経新聞社、産経デジタル
「脳男」/なぜ「悪のヒーロー」が受ける?
伊藤徳裕
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【伊藤徳裕のここに映画あり】
2013.2.8 21:57 (1/2ページ)
桐生市の織物会館で刑事役の江口洋介さん(中央)も参加して撮影された「脳男」
平成12年の第46回江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於(しゅどう・うりお)さんの小説を映画化した「脳男(のうおとこ)」(瀧本智行監督)が9日から公開される。主人公は感情のない殺人マシン、鈴木一郎(生田斗真(とうま)さん)。天才的な記憶力から「脳男」と呼ばれ、正義のためなら殺人もいとわない彼が、無差別連続爆破事件の共犯者として逮捕されるが…。
大がかりな爆破シーンなどは富山県内で撮影されたほか、「広くて雰囲気のある場所」(東宝関係者)との理由で捜査本部の場面は群馬県桐生市永楽町の織物会館で撮られた。ここは「聯合艦隊司令長官 山本五十六」でも新聞社として使われた。
よく「不景気になるとホラー映画がヒットする」と言われるが、「悪の教典」や「ダークナイト・ライジング」といった人間の暗部を描いた映画が最近、量産されるのはなぜなのか。
日本映画でこの傾向が顕著になったのは、平成22年公開の「告白」と「悪人」からだろう。娘を生徒に殺害された女教師の復讐(ふくしゅう)を描いた「告白」。殺人犯の逃避行を描いた「悪人」。公開当時、両作品のプロデューサー、川村元気さんに話を聞くと「誰にでも人間の悪の部分をのぞき見たいという欲求があるはずだ」と語った。
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「脳男」の企画プロデュースを手がけた石田雄治さんは、原作発表時から映画化を考えていたが、なかなか実現できなかった。瀧本監督も「すっかりお蔵入りだろうな」と思っていた。一転して「企画が通りやすくなった」(石田さん)という最近の風潮は、“人間の悪の部分をのぞき見たいという欲求”が世の中に蔓延(まんえん)している表れなのか。ともかく「悪のヒーローを受け入れる土台が今ではできている」(東宝関係者)のは間違いなさそうだ。
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