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平成25・2013年2月7日 産経デジタル
【生田斗真】極限で「脳力開花」! ジャニーズ異例の“俳優専業”
加藤弓子
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【生田斗真】極限で「脳力開花」! ジャニーズ異例の“俳優専業”
2013.02.07
「とんでもない(すごい)作品が生まれたと思っています。本気を出しました」
第46回江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於(しゅどう・うりお)氏の同名小説を映画化した「脳男(のうおとこ)」(瀧本智行監督、9日公開)で、主人公の“脳男”を演じ、新境地を切り開いたようだ。
台本を読んで、「この作品にすべてを懸けてみたい」と思ったという。
「脳男は、感情を持たない、痛みも感じない、強靭な肉体と知能を持ち合わせた男なんですけど、実際はそんな人を見たことはないし、世界的に見てもこういう役を演じた人ってなかなかいない。挑戦してみたいと思いました」
スクリーンの中では、無駄な贅肉をそぎ落とした肉体美と、迫力あるアクションを披露。役作りには半年かけた。
「身体作りや格闘技の稽古をして、誰とも会わずにずっと自分と向き合っていました。普段は人と話したり、食事に行ったりするのが好きなので、そういうことから離れて違う自分になったこの期間は、人生において特別な時間でした」
感情を持たない役というのは難しかったようだ。
「監督には、『表情やセリフではなく、目ですべてを表現してほしい』と言われました。だから今回は、今まで俳優としてやってきたことを捨てるようにしました。例えば、これまでは相手のセリフをちゃんと聞くことを心がけてきたのですが、脳男は一定の間(ま)とトーンで話すので、相手のことはあまり見ないようにして、相手のセリフも聞かないようにしました。演じていてストレスはありましたね」
自分を極限の状態にまで追い込んだことで、思わぬ変化もあった。
「感覚が研ぎ澄まされましたね。現場でうつむいていても、今、誰が来た、誰が帰った、あそこで楽しい話をしているとか、誰が何をやっているのかが分かったんです。空気を感じられるようになったというか」
まさに、脳男そのものに近づいたのだ。
◇
男性アイドルが多数所属するジャニーズ事務所にいながら、CDデビューはしていない。周りの仲間がCDを出していくなか、なかなかチャンスに恵まれず、悩んだ時もあったという。そんな彼が、ジャニーズでは異例の“俳優専業”となったきっかけは、17歳のときに出演した劇団☆新感線の舞台だった。
「30代、40代の劇団員の方々を通して、『俳優』という生き方があることを知りました。“演じることで輝く人間たち”を見て、こうなりたいと思ったんです」
不遇の時に目指したくなる大人と出会えたのは、大きな出来事だったようだ。結果的に彼は、アイドルとは一線を画した実力派俳優となり、ジャニーズ事務所の中で新たな進路を作った先駆者にもなった。今、彼は俳優という職業に対して、ある思いを抱いている。
「映画やドラマ、舞台などの芸術文化は人間にとって絶対に必要なものだし、希望や勇気を与えるもの。そういった場に立っていることに対し、喜びと使命感みたいなものを感じています」
2年ほど前からは、「日本の文化を守り、発展させたい」という強い思いも抱き始めたという。
「日本は地震があったり、さまざまな外交問題なども起きたりしていますが、そんなときに、自分が日本人であることを強く思う瞬間がありました。今後は、世界に日本の文化の素晴らしさを見せて、あっと言わせたいですね。もちろん、外に出ていくのがすべてではありませんが、日本の文化はもっと世界で認められてもいいのではないか、と思うんです。脳男も海外の映画館で上映してほしいですね」
まずは、夕刊フジ読者にも見てほしいという。
「脳男の主題歌はイギリスのプログレッシヴ・ロックバンド、キング・クリムゾンの『21世紀のスキッツォイド・マン』です。読者の方々の中には、リアルタイムで聴いていた方もいるかもしれませんね。この曲にぴったりの男臭い映画になっています。世を支えているおじさんたちの心にも刺さる映画だと思います」
(ペン・加藤弓子 カメラ・宮川浩和)
■いくた・とうま 1984年10月7日、北海道生まれ、28歳。96年、「天才てれびくん」(NHK)でデビュー。2007年、「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」(フジ系)で注目を集め、10年の映画「人間失格」、11年の「ハナミズキ」でキネマ旬報新人男優賞、ブルーリボン賞新人賞受賞。11年の映画「源氏物語 千年の謎」、12年の「僕等がいた 前後篇」でも主演、いずれもヒットした。
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