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平成24・2012年12月22日 産経新聞社、産経デジタル
『読まずにはいられない 北村薫のエッセイ』北村薫著
北村暁子
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【書評】
2012.12.22 08:54
『読まずにはいられない 北村薫のエッセイ』
《書物愛》に満ちた書評中心
1989年に『空飛ぶ馬』でデビューしてから23年、初めてのエッセー集です。
『詩歌の待ち伏せ』や、『謎物語』など、テーマ性を持ったエッセー集はこれまでにもありますが、さまざまなエッセーを編集したものは、これが初めてです。作家デビュー以前の高校教師時代に書いたコラムや書評も収録しました。
小説家デビューの経緯や、自作に寄せる想(おも)いも語られますが、中心となるのは本についてのエッセーです。現在は依頼が多すぎて引き受けていない文庫の解説や推薦文など、北村薫さんの《書物愛》に満ちた書評、78年から2001年までのものを収めました。
30代半ばに編集を手がけた東京創元社『日本探偵小説全集』の内容紹介も貴重。希代の読み手が日本の名作ミステリーをどう読んできたか-江戸川乱歩、横溝正史、久生十蘭、坂口安吾などの作品解説はブックガイドとしても有益です。
この秋、再び企画されて話題になった「東西ミステリベスト100」の85年版に早稲田ミステリクラブ繋がりの依頼で北村氏が東西の第1位『Yの悲劇』『獄門島』の「あらすじ」と「うんちく」を書いていました。これも、読み応えがあります。この面白さを伝えたい!という熱い想いに満ちていて、その本を早く読みたくなります。
当代の人気作家、宮部みゆき、東野圭吾両氏についての評も収録、《あたたかなまなざし》に包まれて、読書の喜びを堪能できる、読書人必携の一冊になりました。(新潮社・1785円)
新潮社出版部文芸第一編集部 北村暁子
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