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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.11.25,Mon
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Posted by 中 相作 - 2012.11.20,Tue

 それでデータベースの話なんですけど、乱歩生活二十年、いかにも心残りなのがデータベースというやつのことでした。

 

 二冊目の目録『江戸川乱歩執筆年譜』をつくったとき、乱歩作品の初出を確認する必要がありました。

 

 初出の舞台となるのはおもに雑誌ですから、乱歩作品が掲載された雑誌を調べなければならない。

 

 ところが、乱歩が長篇連載のホームグラウンドとしていた月刊の娯楽雑誌は、じつは図書館業界でかなりネグレクトされていて、国立国会図書館あたりもまったく頼りになりません。

 

 ただし、乱歩が少年ものを連載した子供向けの雑誌は、万博記念公園内にあった大阪府立国際児童文学館にしっかり揃っていましたので、かなり楽に調べることができました。

 

 しかし、あの文学館も大阪府知事時代の橋下徹さんによって強引に廃止され、所蔵資料はすべて大阪府立中央図書館にお引っ越し、ということになってしまいましたっけ。

 

 あれははっきりいって、橋下さんが俗情に媚びるための暴政の一例だったと思われますけど、橋下さん一流の俗情との結託もここへ来て、いったいなにが目的なんだかさっぱりわかんなくなってきました。

 

 みたいなことはどうでもよくて、いまはなき大阪府立国際児童文学館のことを、私は乱歩の目録をつくりはじめてから知ったのですが、へーえ、子供向けの本や雑誌を専門的に収集してる図書館、なんてのがあるのか、といささか驚き、さっそく電話をかけてかくかくしかじか、乱歩に関係のあるこれこれこういった資料のことを調べているのですが、と相談したところ、はいわかりました、ってんで、大阪府立国際児童文学館はこれこれこういった資料の一覧を郵送してきてくれました。

 

 一覧というのは、パソコンのデータから当該資料のタイトルをピックアップしてブリントアウトしたもので、いやー、これは助かるなあ、と思ったことをいまでも記憶しております。

 

 しかし、じつをいうと、こんなこといったら名張市役所あたりのみなさんはびっくりなさるかもしれませんけど、図書館ってのは、そういうものなの。

 

 図書館のサービスってのは、そういうものなの。

 

 だから、名張市立図書館がそうなってなかった、というのがおかしいの。

 

 大阪府立国際児童文学館が日本にたったひとつ、子供の本を専門的に収集していた図書館であるのなら、名張市立図書館は日本でただひとつ、乱歩の本を専門的に収集している図書館なんですから、収集資料にもとづいた名張市立図書館だけに可能なサービスを鋭意展開すべきなんですけど、そんなこと考えようともしなかったんだからなあ。

 

 子供の本のことなら国際児童文学館に訊け、乱歩の本のことなら名張市立図書館に訊け、みたいなことになっててもおかしくない、というか、そうなってないのがおかしいんですけど、そんなことは全然ない。

 

 なぜか、といいますと、名張市立図書館には資料収集ってものがまったく理解できていないから、ということになります。

 

 適当に古書のたぐいを買い集め、本棚に飾っとくことが資料収集なんだと勝手に決めつけているから、ということになります。

 

 それにしてもひどいもので、しつこくもいうけど、図書館法にだって、収集した資料はちゃんと整理して目録もつくりましょー、収集資料にかんする質問や相談にもしっかり答えてさしあげてねー、とか書いてあるやないか。

 

 なんで図書館としてあたりまえのことを、全然しようとせんかったんや。

 

 いやいや、そんなことはいまさらどうでもいいとして、乱歩作品の初出の確認の話ですけど、少年ものの初出は大阪府立国際児童文学館で調べがついたとしても、いわゆる通俗長篇の初出はどこで確認すればいいのか。

 

 結局、講談社と光文社の資料室にごそごそもぐりこませていただいて、なんとか目的を果たすことができました。

 

 そのとき、あー、こりゃコピーを取って帰りたいものだな、と私は思いました。

 

 資料室スタッフのかたからは、必要ならいくらでもコピーをとってもらっていいから、とおっしゃっていただいてはいたのですが、コピーするとなると膨大な量になりますし、そもそも時間がありません。

 

 初出テキストは図書館として、ぜひとも押さえておきたいものなんですけど、初出誌の現物を入手するのは大変です。

 

 不可能だ、といってもいいでしょう。

 

 子供向けの雑誌なら、大阪府立国際児童文学館のコピーサービスを利用できますけど、講談社の雑誌は講談社の資料室にしか揃ってなくて、しかもコピーサービスなんて受け付けてくれません。

 

 ですから資料室にある初出誌のコピー、のどから手が出るほどほしかったんですけど、泣く泣くあきらめるしかありませんでした。

 

 他日を期すか、とか思い、他日の機会なんてないだろうな、とも思わざるをえなかったんですけど、乱歩作品のデータベースをつくるとなれば、たとえコピーであっても、初出の誌面はやっぱ必要なわけです。

 

 ですから、目録つくってるときも、それからそのあとにも、初出のコピーはできるだけ取るように心がけておりました。

 

 たとえば「新青年」なら、現物は無理でも復刻版が出ていますから、三重県立図書館あたりで復刻版のコピーを取ることができました。

 

 あるいは、関係各位のご厚情におすがりしてコピーを入手する、みたいなこともしてまいりました。

 

 先日、ちょっとした必要から、そうしたコピーの一部をちょっと整理したのですが、この手のものはいちどひろげてしまったら収納がまたひと苦労、ってんで、いまだにこんな状態です。

 

20121120a.jpg

 

 いやー、早く片づけなければならんのやけど、まあ、きょうのところはお酒にしようっと。

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