Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2010.11.03,Wed
〔*11〕
乱歩と稚児の草紙
横溝正史
乱歩と私は八つちがい、世話するほうでもされるほうでも、ちょうどよい年齢差であったと思う。若いころから乱歩は私を買いかぶっており、いつまでたってもボヤボヤしている私をしじゅう歯痒がった。いつになったらおまえはほんとうの力を出すのかと、酒ばかりくらっている私を叱り、昭和十三年ごろ某出版社から、甲賀三郎、大下宇陀児、木々高太郎の三人全集が出たときなど、それが私の病気療養中なるにもかかわらず、ムキになって私を叱りつけた。あれでなかなかファイターだった乱歩は、ごひいきの私をそれらの三人の作家の競争者に仕立てたかったらしい。そんなとき私は心の中で、そんなこというたかて無理や、あの三人とボクとでは才能もちがうし、教育のほどもちがいまっさかいになと思いながら、はじめから諦めムードなのだから、乱歩が歯痒がったのもむりはない。
「朝日新聞」 昭和47年11月
新版横溝正史全集第18巻『探偵小説昔話』講談社(1975年7月)
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