ウェブニュース
毎日jp
平成24・2012年10月31日 毎日新聞社
宮瀬規矩:謎多き生涯を資料で解く 鳥羽郷土史会が特集号 清白らとの写真、エピソード掲載 /三重
林一茂
Home > 特集・連載 > 記事
…………………………………………………………………………………
宮瀬規矩:謎多き生涯を資料で解く 鳥羽郷土史会が特集号 清白らとの写真、エピソード掲載 /三重
毎日新聞 2012年10月31日 地方版
鳥羽市で新聞記者の傍らさまざまな文化活動に携わってきたとされる宮瀬規矩(きく)(1896~1971年)の生涯をまとめた特集号が、鳥羽郷土史会(浜口巖会長)によって発刊された。漂泊の詩人、伊良子(いらこ)清白(せいはく)をはじめ、多彩な交友関係を持ちながら謎に包まれてきた宮瀬の足跡を豊富な資料で明らかにしており、関係者の注目を集めそうだ。【林一茂】
特集号(A4判、42ページ)は、市文化財専門委員の野村史隆さん(64)と郷土史会員の尾崎徹さん(64)が2年をかけ、宮瀬の生家の遊郭「待合 津の国」に残されていた資料を基にまとめた。1000点を超す資料は、清白が宮瀬に宛てた書簡33通や、歌人の与謝野鉄幹・晶子夫妻、詩人の西条八十、画家の竹久夢二らの短冊や色紙、写真、新聞の切り抜き、鳥羽で公開された映画ポスターなど多種多様だ。
宮瀬は約40年間、地方・全国紙記者として中央文化人らと交友関係を結ぶ一方、清白が選者となっていた鳥羽・志摩の歌人らの月刊短歌誌「白鳥」(1930~51年)の編集事務を担当した。また、映画のロケ現場を訪れては長谷川一夫や上山草人など当時の映画スターと交流を重ね、映画ポスターの収集にも力を注いだ。宮瀬の実弟は民俗・男色研究家で知られる岩田準一(00~45年)だ。
特集では38年に鳥羽の清白の自宅を訪ねた西条八十と、清白、宮瀬の3人が写った写真を掲載。清白を再評価したのは「明治大正詩史」を著した日夏(ひなつ)耿之介(こうのすけ)とされるが、西条が「最初に清白を正当に再評価したのは、私だ」と語ったというエピソードを記している。
竹久夢二と江戸川乱歩との交流も紹介。夢二と親しかった準一が、鳥羽で夢二の展覧会を計画、宮瀬が勤務する新聞紙上で5回にわたり応援告知記事を書いたことや、宮瀬が保管していた夢二の短冊写真を掲載した。また乱歩とは、出征する準一を見送った時の写真を掲載した。
野村さんは「鳥羽の文化を知るうえで重要な人物にも関わらず、市史の人物編にも載っていない。特集号が宮瀬規矩研究のきっかけになれば幸いだ」と話している。希望者は鳥羽歴史文化ガイドセンター(0599・25・8255)。
〔三重版〕
Powered by "Samurai Factory"