つづき。
名張市立図書館って、赤っ恥、かきっぱなしだよね、という話のつづき。
ま、しかたないわね。
そこらの高校の図書委員にできることが、ほんとになんにもできないんだから、赤っ恥、かきまくるのもしかたないわね。
それでまあ、目録三冊、つくってるときには先のことなんて考えもしなかったんですけど、それでもなんとなく、あとのことはなんとでもなるだろう、と、漠然と思っていた、ような気がします。
乱歩の自己収集を継承する、ということを、目録のかたちで具体的に示した。
その目録を増補してゆくのは、難しいことでもなんでもない。
名張市立図書館にだって、きっと、なんとかできるだろう。
そんなことを、ぼんやり思っていたのではないかしら。
たとえていえば、乱歩関連資料収集のレールを、乱歩自身が敷いてくれてたわけです。
しかし、名張市立図書館は、そんなレールがある、ということに気がつきませんでした。
昭和30年代で途切れていたそのレールは、中島河太郎先生をはじめとした先人の手で少しずつ延伸されていましたから、私はそれを直近まで延長して、このあとは名張市立図書館がやればいいんだよ、というとこまでもってけば、あとはずーっと将来にわたって、乱歩関連資料の収集を継続することが可能であろう、とか、思っていたのではなかったかしら。
しかしまあ、二冊目の目録ができたとき、一冊目と二冊目を手にもって、
「これ二冊ありますけどさなあ、こっちとこっち、表紙は違いますわてなあ。せやけど、中身はほれ、どっちも字ィ書いてあって、二色刷で、ふたつともおんなじですねさ。これ、こっちとこっち、どこが違いますの」
と副館長からお尋ねをいただいたりしたわけですから、その時点で気がついとるべきであったな、といえばいえるわけですけど、とにかくまあ、ほんと、先のことまで考える余裕がなかった、というのが正直なところです。
そういえば、この副館長さんには先日、先月末の台風前、ということになると思いますが、昼飯に牛丼でも、と入店した吉野家名張店でばったりお会いしたのですが、あいかわらずお元気そうで、お米の収穫ももう終わった、とおっしゃってました。
つまり、ことほどさように、田舎のお役所ってのは、じつは農家兼業化の受け皿になっていたわけで、お役人さまといったって、正体はそこらのお百姓さんでがんす、みたいなことだったわけです、みたいなことはどうでもいいのですが、もういちど、そういえば、と思いついて、べつの話題を書いておきましょう。
といいますのも、きのう、あるかたから、乱歩作品にかんして電話でご質問をいただいたからで、おなじ疑問をおもちのかたがいらっしゃるかもしれませんから、あえて書いとくことにする次第です。
どこかの古書店が、たぶん探偵小説を得意分野にしている古書店だと思うのですが、新しい古書目録を発行した。
その目録が郵送されてきたので、ぱらぱらながめていたら、「妖奇」の昭和25年2月号が売りに出ていた。
その「妖奇」には乱歩作品が掲載されているらしいのだが、作品のタイトルまでは書かれていない。
そこで、名張市立図書館の『江戸川乱歩執筆年譜』を開いてみたのだが、昭和25年2月には「妖奇」がみあたらない。
どうなっているのか。
「妖奇」昭和25年2月号に、乱歩はなにを発表したのか。
そういうお尋ねでした。
たしかにその「妖奇」、名張市立図書館の目録ではフォローできておりません。
「何者」が掲載されているのですが、『江戸川乱歩執筆年譜』は雑誌への再録を記載しておりませんので、その点ではまったく役に立たない、という寸法です。
これ、以前からずーっと気になってて、なんとか雑誌の再録も押さえとかなきゃな、と思いつつ、そのままになっております。
なんとも申しわけありません。
と書いていて思いあたったのが、おとといも記しました情報を共有する、ということであって、乱歩関連資料の情報を共有しようと思ったら、リストをつくるとか、目録をつくるとか、そういうことをすればいいわけです。
したがって、『江戸川乱歩執筆年譜』所有者のかたとは、上に記したとおり、情報が共有できているのですが、驚くべきことに、名張市立図書館の元副館長さんとは、情報が共有できなかった、ということになります。
元副館長さんという個人のみならず、名張市立図書館全体でも、情報の共有はできないと思います。
情報が共有できない、というのであれば、その情報を更新することも、当然できません。
目録の増補は不可能なり、ということになります。
なぜ、きわめて容易なことなのに、目録の内容を情報として共有できないのか。
乱歩のことを知らない。
乱歩に興味も関心もない。
乱歩作品を読むこともしない。
なにも考えない。
できるだけ働かない。
どちらかといえば、あほである。
そういったところかと判断される次第ですが、そんな図書館にいったいなにができるっていうのよ、みたいな話なわけです。
内発的なものがなにもない、というのは、思っていた以上に、致命的なことだったのかもしれないね。
しかし、それにしても、あらためて驚いてしまうじゃねーか。
そこらの高校の図書委員なら、自分たちで考えて、自分たちで決めて、自分たちで進めたはずのことが、資料収集のエキスパートであるはずの図書館に、なにもできない。
乱歩が自伝のなかで、乱歩関連資料はこういうものだ、と教えてくれているというのに、その自伝を開こうともしない。
それ以前に、資料収集のしの字もわかっていない。
いやー、なんか、私って、毎日、こんなことばっか、怒りとともに書きつづってますけど、おかげさまですこぶる快調です。
健康が気になる、とおっしゃるかたは、いちどお試しになってはいかがでしょうか。
さて、そこらの高校の図書委員なら、資料を収集するうえでどうしても必要だ、ということがわかってリストをつくり、そこに蓄積された情報をより多くのひとと共有することが必要だ、と判断したら目録を公刊し、というのは、図書館が果たすべき役目としては、ごくあたりまえの流れです。
そこらの高校の図書委員でも、あるいは、キャリアを積んだ有能なライブラリアンでも、乱歩関連資料を収集する、となれば、必ずそこを通るはずの王道です。
しかし、名張市立図書館には、そんなことはとてもわからなかった。
だから、こちらで目録をつくって、ほら、じつはこれが名張市立図書館がやんなきゃならなかったことだったんだよ、ここまでやっといたから、あとはよろしくね、といってやったらそれでいいのであろうな、と思ってたんですけど、なんのなんの、はあ? とかいわれておしまいだったわけです。
自分たちがなにをすればいいのかがわかんない、というか、なにをすればいいのか考えたこともない、というか、主体性は完全に放棄して、なおかつ、自分たちはできるだけ働かないと心にかたく誓ってる、そんなみなさんに、ほれ、とばかりに乱歩関連資料収集のバトンを渡しても、はあ? とかいわれておしまいなわけ。
ですから、そこらの高校の図書委員なら、あるいは、キャリアを積んだ有能なライブラリアンであっても、時代の趨勢にかんがみ、インターネットを利用して乱歩関連資料にかんする情報をひろく発信し、逆に受信もできるような態勢をつくりあげる、なんてのは当然のこととして進めるはずだけど、名張市立図書館はそんなこと、げんにしてませんし、この先とも絶対にできません。
そんな恐ろしいことができるか。
そんなことしてて、もしもある日、「妖奇」の昭和25年2月号にですね、乱歩のですね、とかみたいな問い合わせの電話がかかってきたらどうすんだよ。
図書館全体、パニックになってしまいます。
しかし、ま、しゃーないでしょう。
資料収集いたします、といいながら、資料収集のしの字も理解できてない図書館なんですから、まともなことをするのはとても無理です。
こら。
こらこら。
こらこらこらこら。
図書館のお仕事なめてんじゃねーぞこら。
なんにもできない、したくない、とかゆーんだったらこら、こらこら、こらこらこら、もうやめたらどうよ?
乱歩関連資料を収集しております、なんてのは大うそでーす、とか、正直に告白しちゃったらどうよ?
てゆーか、もうとっくに大うそはばれてんですけど。
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