ウェブニュース
毎日jp
平成24・2012年10月4日 毎日新聞社
ジオラマ:昭和の街、おちゃめな仕掛け多彩 山本さん、18日から日本橋で初個展 /東京
大沢瑞季
Home > 特集・連載 > 記事
…………………………………………………………………………………
ジオラマ:昭和の街、おちゃめな仕掛け多彩 山本さん、18日から日本橋で初個展 /東京
毎日新聞 2012年10月04日 地方版
蒲田の戦後闇市をテーマに制作した新作を前に話す山本さん=世田谷区のアトリエで
昭和の街並みをテーマにしたジオラマ作家、山本高樹さん(48)=世田谷区=の初個展が18日から、日本橋高島屋(中央区日本橋2)で開かれる。NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」のオープニングで使われたジオラマや、高度経済成長期の上野や銀座の街並みなど約30作品が展示される。【大沢瑞季】
展示されるジオラマは、駄菓子屋、70年代の新宿ゴールデン街、冬支度をする長野の風景……。どれも細部にこだわり、まるでタイムスリップしたように、そこで生きる人々の息吹が伝わってくる。
山本さんは子どもの頃からプラモデル好きで、高校時代は8ミリ映画を製作、セットを手作りしていた。映像専門学校を卒業後、映画・テレビなどの映像美術の仕事に携わった。バブル全盛期、CMや博覧会用の模型作りで忙しく働いた。
その反動か、90年代から地方の古い街並みを求めて旅を繰り返した。「のんびりした人間らしい光景。いつか、こういう風景を作りたい」。思いを胸に秘めるようになった。
01年、コンピューターグラフィックス(CG)の台頭で模型の仕事が減り、勤務先の会社が模型部門を閉鎖したのをきっかけに独立。「やりたかったことをやろう」。昭和の街並みをテーマにジオラマを作り始めた。最初に作ったのは、戦前の銀座。路面電車や昭和初期に流行したカフェ……。写真集などの資料を基に制作するが、実は半分は空想の世界。「遊びの部分を表現した方が面白い。そこが博物館の模型と違うところ」。電車に飛び乗る江戸川乱歩の人形など、おちゃめな仕掛けがたくさんある。
昭和の街並みについて「建物もあか抜けていなくて、やぼったいところがいとおしい。今の建物は気取っちゃって、取りつく島もない」と話す。最近、ジオラマに共感してくれる人が増えているといい、山本さんは「不景気で先が見えない時代だからでは」と受け止めている。
Powered by "Samurai Factory"