書籍
四重奏 カルテット
小林信彦
平成24・2012年8月28日第一刷 幻戯書房
B6判 カバー 262ページ 本体2000円
夙川事件 -谷崎潤一郎余聞-
初出:文學界 2009年7月号
半巨人の肖像
初出:新潮 1971年6月号
隅の老人
初出:海 1977年11月号
男たちの輪
初出:LITERARY Switch 2号(1991年7月)
初出タイトル:男たち
あとがき
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夙川事件 -谷崎潤一郎余聞-
子供のころ、「怪人二十面相」を読んでいた。アメリカとの戦争のさなかで、ときどき警戒警報が鳴りひびいたように記憶する。
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半巨人の肖像
一
今野が彼にとってすでに遠いものとなった氷川鬼道の存在を意識することを強いられたのは、ある奇妙な事件によってであった。
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隅の老人
一
斬新な企画で知られたPR誌の編集長を辞した男を激励する会が、十二社の台湾料理屋の二階でおこなわれたのは九月の半ばだった。スポンサー側の要望と合わぬための解任という噂があるせいか、励ます側のスピーチはいずれも歯切れが悪く、会の空気は沈みがちであった。
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男たちの輪
一
佐竹に会いたくなった今野は、保谷市にある佐竹の家にしばしば電話をかけたが、相手は熟睡しているか散歩に出ているかであった。そうした状態があまりにも長くつづくので今野は、なにかふつうでないものを感じた。
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