暑い、暑い暑い、いつまでも残暑が厳しゅうおますなあ、とかぼやいているうちに、さすがに過ごしやすくなってまいりました。
さて、先日につづきまして、外部からお寄せいただいた声について。
しかし、そのまえに、いささかの補足を。
いやまあ、わざわざ補足すべきことでもないのですが、先日もお知らせしましたとおり、現在ただいま、より正確にいえば本年4月1日から、名張市立図書館は乱歩関連資料の購入をおこなっておりません、ということになっているのですが、その理由のひとつは、これもむろんすでに述べたことではあるのですが、資料を収蔵するスペースがない、ということです。
資料収集という行為の本質には無関係な話であり、もとより本末転倒した話ではあるのですが、現実的な問題として考えた場合、収集した資料を保管する場所がない、というのはかなり切実な悩みになります。
しかも、われらが名張市は昨年度、三重県内で実質公債比率と将来負担比率の二冠に輝いたようです。
▼伊勢新聞:県内全市町の財政健全 23年度県判断(2012年9月7日)
母さん、名張市民の三千十万七千七百円、どうしたでせうね? とかいって税金をどぶに捨てるようなことばっかやってっから、てゆーか、母さん、名張市民の八億六千万円、であったか、あるいは、名張市民の八億九千五百万円、であったか、はたまた、名張市民の九億八千万円、なのであったとしたら、いうまでもなくほぼ十億円であって、十億円でっせ十億円、十円置くんちゃいまっせ、みたいなことばっかやってたおかげで、堂々の二冠達成とはなりました。
ですからまあ、乱歩関連資料の収蔵スペースをちょっくら増設いたします、といったことにはとてもならず、こうなりますとかえすがえすも惜しまれますのは、みごとなまでの大失敗に終わった名張市のまちなか再生事業で乱歩が生まれた新町に残る蔵、あの蔵を……
いやいや、くどくどくどくど、面白いからなんどでもおちょくってしまいますけど、それはまあいいとして、収蔵スペースがなくなってしまった、というのはやはり頭の痛い問題です。
関連して付記しておきますと、名張市立図書館の乱歩コーナーをどうすっぺ? という問題ですけれど、かりに名張市立図書館が乱歩から完全に手を引く、となった場合には、たとえばタイ式マッサージコーナーはどうよ、みたいな感じでスペースを転用することが必要になります。
しかし、乱歩から手は引いても、名張市が乱歩の生誕地であことには変わりがないわけですから、乱歩コーナーそのものは乱歩にちなんだスペースとして存続させる、みたいなことも考えるべきかもしれません。
その場合には、たとえばひとつのアイデアとして、外からは内部がまったくみえないようにしてしまい、小さなのぞき穴だけを設けて、穴の横のコイン投入口に百円玉を一枚入れれば、一分間だけ乱歩コーナーの内部をのぞくことができる、みたいなことにしてはどうでしょうか。
いかにも乱歩的ではありませんか。
乱歩コーナーの内部には、火曜日は女子高生の日、水曜日は熟女の日、と日によって変化をつけ、お客さまのどのようなお好みにも対処できるようにするのが望ましいでしょう。
あるいは、みごとなまでの大失敗に終わった名張市のまちなか再生事業で誕生した旧細川邸やなせ宿、あの無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館で人気を集めるワンデイシェフのひそみにならい、ワンデイコスプレ、なんてのもいいかもしれません。
怪人二十面相の日、黄金仮面の日、蜘蛛男の日、盲獣の日、人間豹の日、などなど、乱歩コーナーの内部でひそかにくりひろげられるべきコスプレのアイデアは、それはもういくらだって出てきます。
ヒロインにスポットをあてるだけでも、D坂の殺人事件の日、お勢登場の日、人間椅子の日、人でなしの恋の日、芋虫の日、蟲の日……
でも、蟲の日って、なんかやだ。
なにばかなことを書きつづっておるのか。
とにかく、スペースがない、というのは切実な問題であって、そういった意味からも、あの廃墟のような乱歩コーナー、いまのままではどうしようもありません。
以前にも申しましたとおり、展示のためのコーナーがいつのころからか収蔵のためのコーナーになってしまっていますから、そのあたりをいちど、きっちり考えてみなければならない。
そうなると、展示よりは収蔵に軸足をおいたコーナーにすべきではないか、ということは、私の意見として名張市立図書館側に伝えてあります。
そのついでに、地下書庫に眠りつづけている慶應義塾大学推理小説同好会OB会からの寄贈図書も、なんとか乱歩コーナーのなかで陽の目がみられるようにできぬものか、ということも伝えてあります。
とはいえこれ、あくまでも口頭での進言であって、口頭で伝えたあと文書にして提出しようかとも思ったのですが、そうするとやはり文書による回答、というものを求める運びとなりますから、どうせまともな回答など望めるはずもなく、あんまり酷なこともできないな、と思って口頭での提言にとどめておきました。
さて、外部からいただいた声の件ですが、再度引用いたしますと、こんなことでした。
「名張は、私たち乱歩ファンの聖地には違いないのですから、ぜひぜひ頑張っていただきたいと切に願っております」
たしかに、乱歩ゆかりの土地はあちらこちらにありますけど、乱歩が生まれたのは名張市なんですから、その意味ではまさしくオンリーワンの聖地ですし、二十年以上も前から継続してイベント系の乱歩関連事業を実施してきたのも名張市であり、そんな自治体はほかにはありませんから、そういった意味でも乱歩ファンから期待をお寄せいただくのは当然であり、まことにありがたいことでもあるのですが、しかし、正直なことをいえば、ろくなことはできておりませんでした。
ミステリ講演会「なぞがたりなばり」だって、実質的には日本推理作家協会に丸投げの状態で、しかもあっさりおしまいになりました。
ほかにちまちまやってたことも、すべてご町内感覚でまさしくちまちまやってただけのことに過ぎません。
名張市における乱歩関連事業の草分けは、と申しますと、いうまでもなく名張市立図書館における乱歩関連資料の収集だったわけですが、これももう、むろん最終的な結論にはいたっていないわけですが、実質的にはほぼおしまい、といった雲行きで、図書館としてふつうのことをまともにやる、ということさえできていない状態なのですから、明るい展望はとても望めません。
だというのに、つい先日、こんなリストをお送りくださったかたがありました。
乱歩作品が原作になった漫画のリストで、むろんこういったものも乱歩関連資料として名張市立図書館が収集すべき対象ではあり、こうしたご教示を参考にしながら収集を進めるべきではあるのですが、しかし、いくらこうしてリストをお送りいただいても、しかし、しかしなあ。
いかんいかん。
いつまでもネガティブなことばかりいってもいられませんから、悲観材料を並べたてるのはおしまいにして、つぎのステップに進みたいとは思うのですが、いやもーどーしよーもねーか。
なあ。
なあおい。
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