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平成24・2012年7月24日 メディアファクトリー
「好きなのに触れない!」 “箱”になった少女と医者の恋物語
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2012年07月24日(火) 11:30
「このコ、かわいい」
どんなキャラクターにそう感じるか。
大きな瞳、長い黒髪、アヒル口、巨乳……人それぞれかわいい! と感じるポイントはさまざま。かわいいキャラはたくさんいるけど、あらゆる“かわいい”を超越するヒロインが登場した。そのヒロインはなんと「箱」。 箱が恋をするという奇妙なマンガが話題を集めている。『キュビズム・ラブ』(エンターブレイン)は、『高機動幻想ガンパレード・マーチ』などを手がけるゲームデザイナー・芝村裕吏が原作、『今日からマのつく自由業!』など「まるマシリーズ」のイラストで有名な松本テマリがマンガを手がける作品だ。
交通事故に遭い、脳だけが助かった少女・ノリコ。彼女の脳は医者である篠田誠志郎の手によって小さな黒い箱の中に入れられ、箱として生きることとなる。そして、ノリコは子供っぽい笑顔を見せる篠田に次第に惹かれていく。好きなのに触れることもできない究極のピュアラブストーリーだ。
安部公房の『箱男』やカフカの『変身』にも通じるようなとても実験的なこの作品。江戸川乱歩の『押絵と旅する男』や『芋虫』のような幻想的な風合いもある。しかし、おどろおどろしい感じや悲観的な描写はほとんどなく、とてもピュアでかわいらしいマンガに仕上がっている。
とにかくノリコがかわいい! のだ。構図や陸上部時代のノリコが好きだった“白い息”を上手く使って彼女の感情を表現しており、その描写はとてもただの黒い箱とは思えないほどにかわいらしい。さらに、病室の中での箱と医者の対話という限られた状況の中、マンネリとならない構図で描ける松本テマリのセンスや実力もすごい。芝村がTwitterで「松本テマリ限界テストマンガ」と言ったのもうなずける。
コミックスは現在2巻まで発売されており、7月14日には小説版の『キュビズム・ラブ~悩める博士と恋する小箱~』(芝村裕吏、松本テマリ/エンターブレイン)も発売された。今度は文字だけでどうやってノリコのかわいらしさを表現しているのか? その描写にも注目だ。
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