書籍
悪のしくみ 中学生までに読んでおきたい哲学2
編:松田哲夫
平成24・2012年7月10日初版 あすなろ書房
A5変型判 カバー 245ページ 本体1800円
関連箇所
探偵小説に現われたる犯罪心理
江戸川乱歩
初出:文化人の科学 昭和22年3月
p165ー175
解説「自分自身の奥底から湧きだしてくる悪」
松田哲夫
p234ー242
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探偵小説に現われたる犯罪心理
江戸川乱歩
探偵小説はその本来の目的が複雑な謎を解く論理の興味に在るため、犯罪者の心理を正面から描くことはほとんどない。「犯人の意外性」という事が一つの条件となっているほどであるから、犯人は小説の最後までその正体を現わさない。したがって犯人の心理や性格を詳しく描写するいとまが無く、犯人が暴露すれば探偵小説はそこでお終いになるというのが普通の形である。別の云い方をすれば、探偵小説は犯罪事件を探偵の側から描く小説であって、探偵の性格は克明に描写されるが、犯人のそれは間接な方法でしか描かれない。描かれるのは犯人の人間ではなくて巧妙な犯罪手段なのである。しかし、それにもかかわらず、優れた探偵小説には犯罪者の心理と性格とがよく現われている。正面から描写はしないけれども、非常に感銘深く犯罪者の人間が浮き出している場合がある。
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解説「自分自身の奥底から湧きだしてくる悪」
松田哲夫
子どもといえども、この人間社会に生きている限り、悪と触れあう機会は必ずあるものです。ちょっとした弾みに万引きしてしまったり、いけにえにされた子を取り囲むいじめの輪のなかに入ったりしているかもしれません。そういうときに、当事者の子どもはもちろん、教師や親などの大人も、ただ悪を退けるのではなく、悪とは何かを考えてみるべきかもしれません。
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▼あすなろ書房:中学生までに読んでおきたい哲学 (2)悪のしくみ
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