ウェブニュース
YOMIURI ONLINE
平成24・2012年6月19日 読売新聞社
「銭形平次」作者生誕130年展
Home > 地域 > 岩手 > 記事
…………………………………………………………………………………
◇胡堂が支えた多才な面々
胡堂ゆかりの品を並べる野村館長
紫波町出身で映画やテレビの時代劇にもなった小説「銭形平次捕物控」の作者、野村胡堂の生誕130年を記念し、同町彦部の「野村胡堂・あらえびす記念館」で19日から企画展「胡堂がささえた人々」が始まる。同館で行われる生誕130年記念事業の第1弾で、胡堂と親交のあった作家や実業家らのゆかりの品が展示される。
胡堂は1882年、紫波郡大巻村(現紫波町)に農家の次男として生まれ、盛岡中を卒業後、上京した。東京帝大在学中に父親が死去、仕送りが途絶えたことから中退して、報知新聞社に入った。
同館によると、胡堂はそれ以来、「学業をあきらめるのは自分だけでいい。困っている人を助け、育てることが大切」と考えるようになり、画家に画材費を援助したり、知人の人生相談に乗ったりした。死去直前の1963年2月には私財約1億円を投じ、奨学金や研究助成金を支給する「野村学芸財団」を設立した。
企画展では、胡堂が新聞記者時代に紙面で取り上げた作家の江戸川乱歩や、創業資金を援助したソニーの創業者井深大氏ら計6人の写真や同財団の会報など約70点を展示。乱歩が胡堂の通夜で思い出を語った肉声テープや同町内の胡堂の墓参りをする井深氏の写真など貴重な品を見聞きできる。
同館の野村晴一館長(74)は「胡堂は、人材育成を重要視していた。その考え方を展示品を通して感じ取ってもらえれば」と話している。
9月30日まで。月曜休館。一般300円、小中高生150円、小学生未満無料。
同館では記念事業として、今月24日に胡堂の人柄を紹介する講座を開く。10月27日には、盛岡市在住の作家で同館名誉館長を務める高橋克彦さんと脚本家内館牧子さんの対談を予定している。
(2012年6月19日 読売新聞)
Powered by "Samurai Factory"