10月
書籍
探偵小説の街・神戸
野村恒彦
平成25・2013年10月1日初版第一刷 エレガントライフ
第一章 探偵小説の揺籃期と神戸
Entry
雑誌
グランドジャンプ 10月2日号
平成25・2013年10月2日 第2巻第20号 集英社
江戸川乱歩異人館
山口譲司
Entry
ネット動画
YouTube
平成25・2013年10月5日公開
『乱歩で散歩』銀座編・第4回
Entry
ウェブニュース
毎日jp
平成25・2013年10月8日 毎日新聞社
SUNDAY LIBRARY:岡崎武志・評『不屈の春雷 十河信二とその時代』『よう知らんけど日記』ほか
Entry
雑誌
小説野性時代 11月号
平成25・2013年10月12日 第11巻第11号 角川書店
明智小五郎対金田一耕助ふたたび 後篇
芦辺拓
Entry
ネット動画
YouTube
平成25・2013年10月12日公開
『乱歩で散歩』銀座編・第5回
Entry
書籍
人間椅子 江戸川乱歩ベストセレクション1
江戸川乱歩
平成25・2013年10月15日十三版 KADOKAWA 角川ホラー文庫
人間椅子
目羅博士の不思議な犯罪
断崖
妻に失恋した男
お勢登場
二癈人
鏡地獄
押絵と旅する男
解説
大槻ケンヂ
Entry
書籍
芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2
江戸川乱歩
平成25・2013年10月15日十三版 KADOKAWA 角川ホラー文庫
芋虫
指
火星の運河
白昼夢
踊る一寸法師
夢遊病者の死
双生児──ある死刑囚が教誨師にうちあけた話──
赤い部屋
人でなしの恋
解説
理知的志向と怪奇的嗜好 三津田信三
Entry
書籍
屋根裏の散歩者 江戸川乱歩ベストセレクション3
江戸川乱歩
平成25・2013年10月15日再版 KADOKAWA 角川ホラー文庫
屋根裏の散歩者
暗黒星
解説
どうして乱歩は懐かしいのか 山田正紀
Entry
書籍
孤島の鬼 江戸川乱歩ベストセレクション7
江戸川乱歩
平成25・2013年10月15日七版 KADOKAWA 角川ホラー文庫
孤島の鬼
解説
郷原宏
Entry
ウェブニュース
伊賀タウン情報YOU
平成25・2013年10月15日 ユー
新作の影絵使って文化を発信 名張市
Entry
雑誌
グランドジャンプ 10月16日号
平成25・2013年10月16日 第2巻第21号 集英社
江戸川乱歩異人館
山口譲司
Entry
ウェブニュース
朝日新聞デジタル
平成25・2013年10月16日 朝日新聞社
乱歩への思い 誕生祭に
岡本真幸
Entry
ウェブニュース
毎日jp
平成25・2013年10月16日 毎日新聞社
影絵劇:地元昔話「子だから地蔵」 歴史と文化を発信 おもてなしの心で 「はなびし庵」で20日上演──名張 /三重
行方一男
Entry
書籍
推理小説月旦 ミステリー全論考
澁澤龍彥
平成25・2013年10月18日初版 深夜叢書社
江戸川乱歩『パノラマ島奇談』解説
玩具愛好とユートピア 乱歩文学の本質
Entry
ウェブニュース
毎日jp
平成25・2013年10月19日 毎日新聞社
ぼくらの乱歩生誕祭:怪人二十面相現れる? あす演劇や合唱、多彩なイベント──名張 /三重
行方一男
Entry
ネット動画
YouTube
平成25・2013年10月19日公開
『乱歩で散歩』銀座編・第6回
Entry
書籍
古書ミステリー倶楽部 傑作推理小説集
編:ミステリー文学資料館
平成25・2013年10月20日初版一刷 光文社 光文社文庫
口絵
江戸川乱歩
解説
新保博久
Entry
ウェブニュース
中日新聞 CHUNICHI Web
平成25・2013年10月20日 中日新聞社
「子だから地蔵」完成 名張に伝わる昔話題材の影絵劇
小西亮
Entry
ウェブニュース
朝日新聞デジタル
平成25・2013年10月21日 朝日新聞社
怪人二十面相も祝う
岡本真幸
Entry
ウェブニュース
伊賀タウン情報YOU
平成25・2013年10月21日 ユー
乱歩像前で呼び掛ける 赤い羽根共同募金
Entry
ウェブニュース
毎日jp
平成25・2013年10月21日 毎日新聞社
江戸川乱歩:生誕祝う 二十面相の呼び掛けや歌──名張 /三重
行方一男
Entry
雑誌
小説宝石 11月号
平成25・2013年10月22日 第46巻第11号 光文社
懐かしき「少年」の世界
妖人ゴング
Entry
新聞
読売新聞
平成25・2013年10月22日 読売新聞東京本社
「乱歩先生、ぜひ御眼通しを」/「虚無への供物」 中井英夫の手紙/小樽で来月初公開
Entry
ウェブニュース
YOMIURI ONLINE
平成25・2013年10月22日 読売新聞社
中井英夫の乱歩への手紙 初公開
Entry
書籍
日本推理小説論争史
郷原宏
平成25・2013年10月23日第一刷 双葉社
第五章 「一人の芭蕉」論争
第六章 探偵小説芸術論争
第七章 本格×変格論争
第八章 ブルジョア文学論争
Entry
ウェブニュース
BOOK asahi.com
平成25・2013年10月25日 朝日新聞社
「ポケミス」全1775点を一堂に展示 創刊60周年企画
Entry
ウェブニュース
毎日jp
平成25・2013年10月25日 毎日新聞社
早川書房:ハヤカワ・ミステリ全点を一堂に展示 創刊60周年記念
銅崎順子
Entry
ウェブニュース
MSN産経ニュース
平成25・2013年10月27日 産経新聞社、産経デジタル
『貝の穴に河童の居る事』泉鏡花著、石塚公昭人形・写真
中村隆夫
Entry
書籍
藤子・F・不二雄大全集 スーパー=キャッティ/かけろセントールほか
藤子・F・不二雄
平成25・2013年10月30日初版第一刷 小学館
かいじん二十めんそう
文:江戸川乱歩
絵:藤子不二雄
「かいじん二十めんそう」後半
文:江戸川乱歩
絵:しのだひでお
Entry
ウェブニュース
朝日新聞デジタル
平成25・2013年10月30日 朝日新聞社
怪人二十面相 募る
岡本真幸
Entry
ウェブニュース
MSN産経ニュース
平成25・2013年10月30日 産経新聞社、産経デジタル
ご当地グルメでまちおこし狙う 名張で催し 三重
Entry
書籍
東京発祥の地めぐり
編著:発祥の地探訪会
平成25・2013年10月31日初版第一刷 マイナビ マイナビ文庫
3 集合住宅
Entry
書籍
復興文化論 日本的創造の系譜
福嶋亮大
平成25・2013年10月31日第一刷 青土社
2 観客の発見
Entry
雑誌
『新青年』趣味 第14号
平成25・2013年10月31日 (『新青年』趣味)編集委員会
江戸川乱歩新発見資料 『中央少年』第二巻第四号
平山雄一
〈乱歩シネマ論〉明智小五郎という男(1)
小松史生子
論創ミステリ叢書を編集して
横井司
「乱歩で散歩」新しい文学散歩映像の試み
湯浅篤志
Entry
ウェブニュース
毎日jp
平成25・2013年10月31日 毎日新聞社
隠街道市:怪人二十面相求む なりきり2部門 高校生「若者元気塾」企画──名張・来月30日、12月1日 /三重
Entry
雑誌
聖心女子大学大学院論集 第35巻第2号
平成25・2013年10月 通巻45号 聖心女子大学
江戸川乱歩『人間椅子』論:〈読む者〉を攻撃するメビウスの輪としての『人間椅子』
西川蘭
Entry
グランドジャンプ 10月2日号
平成25・2013年10月2日 第2巻第20号 集英社
平成25・2013年9月18日発売
B5判 454ページ 定価330円(本体314円)
江戸川乱歩異人館
山口譲司
第27話〈異人ノ十四 明智小五郎×蛭男~吸血鬼二~〉> p303-326
▼集英社グランドジャンプ公式サイト:Home
ゲンダイネット
平成25・2013年9月19日 日刊現代
「魔性の女挿絵集」中村圭子著
Home > BOOKS > 記事
「魔性の女挿絵集」中村圭子著
【BOOKS】
2013年9月19日 掲載
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<日本文学を彩った魔性の女たちが勢ぞろい>
明治末から昭和初期の文学作品に描かれた「魔性の女」たちを当時の挿絵で紹介するアートブック。美貌と官能で男たちを破滅に導く女、はたまた恋に燃え上がり相手の男を道連れにする女など、清純なヒロインたちとはまた別の魅力を放つさまざまなタイプの魔性の女たちが文学作品を飛び出し、画家たちのイマジネーションによって形を与えられる。
この時代の耽美・幻想の文学作品の白眉といえば泉鏡花の小説であろう。そのひとつ「高野聖」は、山の中の一軒家に男を誘い込み、飽きると彼らを動物や虫に変えてしまう女と、彼女に魅せられた若い僧侶の物語。川端龍子や鏑木清方など、そうそうたる画家たちが物語で「婦人(をんな)」と呼ばれるこの女性を描いている。中でも、主人公のふたりが谷川で汗を流すシーンを描いた橘小夢の挿絵は、女の魅力に惑わされながら自制心と戦う僧と今にも落ちそうな獲物を見つめる女、ふたりの心の内まで透けて見えてくるようだ。古典や民俗学にも造詣が深く、魔性の女の魅力を深く理解していたという橘は、他にも九尾の狐が化けた「玉藻の前」や、「安珍と清姫」など、古今の魔性の女を見事に描き切っている。
その他、谷崎潤一郎の「痴人の愛」に登場する真面目な電気技師の青年・譲治を翻弄するカフェの女給見習ナオミを描いた岩田専太郎の作品や、同じく谷崎の「人魚の嘆き」の人魚を描いた水島爾保布の作品、竹中英太郎が描く横溝正史の「鬼火」でいとこ同士の万造と代助を破滅させるお銀、林唯一による江戸川乱歩「黒蜥蜴」の緑川夫人など。そのストーリーとともに作品を堪能。
多くは、雑誌などの挿絵として描かれており、今ではなかなかお目にかかれない作品ばかりだ。美女たちに誘われ、日本の幻想文学の素晴らしさにも改めて触れられるお薦め本。
(河出書房新社 1600円)
毎日jp
平成25・2013年9月17日 毎日新聞社
SUNDAY LIBRARY:岡崎武志・評『極私的ミステリー年代記』『アンリ・バルダ』ほか
岡崎武志
Home > 特集・連載 > 記事
SUNDAY LIBRARY:岡崎 武志・評『極私的ミステリー年代記』『アンリ・バルダ』ほか
2013年09月17日
◇いいもんはいい、ダメなもんはダメ
◆『極私的ミステリー年代記』北上次郎・著(論創社/上下・各税込み2730円)
北上次郎による、雑誌『小説推理』に長年連載され、今も続くミステリー時評。その20年分を上下で単行本化したのが、この『極私的ミステリー年代記』で、総ページは1000に近い。
毎回、数冊の海外ミステリーをまな板に乗せ、最後に今月の推薦作を挙げ△○◎の評価をくだす。「極私的」とある通り、あくまで自分の判断基準を優先させている。
たとえば、一般読者が判断基準とする、アメリカ探偵作家クラブ賞という帯の文字。フランシー・リン『台北の夜』は、最優秀新人賞受賞作だが、著者は主人公の「感情の芯のようなものが見えない」点を突き、これを退ける。
要求水準が高いのだ。だからブッカー賞作家のミステリーと聞くと「どうせ文学してるんだろこのやろエンタメはそんなに甘くないぜ」と啖呵を切る。このエンタメ愛が全編にほとばしるのが北上批評の読みどころ。
だから、大評判の『ミレニアム』への惜しみない絶讃も、安心して?を弛められる。
◆『アンリ・バルダ 神秘のピアニスト』青柳いづみこ・著(白水社/税込み2310円)
ピアニストで文筆家・青柳いづみこの新著が『アンリ・バルダ 神秘のピアニスト』。この「知られざる幻の巨匠」と呼ばれたユダヤ系フランス人ピアニストの演奏に心酔した著者は、演奏会を追っかけ、やがて親しくなる。訪問したパリのアパートからエッフェル塔が見えるが、巨匠は見えないふりを。そんな逸話を交えながら、その生涯と演奏のすごみを解説する。「端正だが少しも冷たくない」「さまざまな音色がとびかう」演奏が聴こえてきそうな文章。
◆『襲名犯』竹吉優輔・著(講談社/税込み1575円
竹吉優輔『襲名犯』は本年度乱歩賞受賞作。犯罪を「襲名」するというテーマがユニーク。連続猟奇殺人を犯した新田に死刑執行がくだる。ルイス・キャロルの『スナーク狩り』に登場する怪物「ブージャム」と名付けられたこの犯人を信奉する男による、同様の連続殺人が14年後に起きた。図書館司書の南條仁、その親友で作家の霜野、茨城県警刑事の律子は同窓生。ある理由から、3人がこの事件に巻き込まれていく。将来を期待させる新人の登場だ。
◆『東京スカイツリーを撮影している人を撮影した本』太田友嗣・著(産業編集センター/税込み999円
SUNDAY LIBRARY:岡崎 武志・評『極私的ミステリー年代記』『アンリ・バルダ』ほか
なるほど、これはアイデアだ。太田友嗣『東京スカイツリーを撮影している人を撮影した本』は、タイトル通り、話題のタワーを撮影する人を撮影した写真集。つまり、当のスカイツリーは写っていない。恋人を写し込むため、股覗きのように地面に顔をこすりつける男性。ベンチで一斉にエビぞるおばさんたち。みな、かなり無理な姿勢。しかし周囲を気にしない。真剣だからこそ、どこかおかしみを誘う。見せ方、読ませ方にもひと工夫、ふた工夫あり。
◆『クロスロード・オキナワ』鎌倉英也・宮本康宏/著(NHK出版/税込み2310円)
「武器も戦争もない」琉球王国の存在を知ったとき、ナポレオン前皇帝は「それは、とんでもなく特異な国だな」とつぶやいた。それが近代に「沖縄県」が誕生して以来、「防衛拠点」として日米から蹂躙される。鎌倉英也・宮本康宏『クロスロード・オキナワ』は、実際に暮らす沖縄県民の声を十分に拾いつつ、歴史的・空間的に「クロスロード」させながら「オキナワ」を考える。「辺境」ではなく「中心」に置くことから我々に真実を突きつける。
◆『村上春樹で世界を読む』三輪太郎×重里徹也/著(祥伝社/税込み1575円)
三輪太郎×重里徹也の対談は「二人の読書体験と人生体験を総投入してのぶつかりあい」だった。国民的作家の作品の「何がここまで私たちの心をとらえるのか」を追究したのが『村上春樹で世界を読む』だ。作家を「阿美寮(注:『ノルウェイの森』に登場する「理想的共同体」)に憑かれた人間」と評する重里に「パワフルなテーゼ」だと応じる三輪。阿美寮よりも幸せな世界はどこにあるのか。私たちはそれを作家とともに探し続けているのかもしれない。
◆『震災画報』宮武外骨・著(ちくま学芸文庫/税込み1155円)
反骨のジャーナリスト・宮武外骨が、関東大震災からわずか3週間で緊急出版したのが『震災画報』。本書は、90年後のいま、図版も含めて、この貴重な記録を丸ごと復刊させた。発生直後からの混乱と甚大な損害をルポする記述にも目を見張るが、政府の無能を激しく糾弾する筆法や、焦土のなかでうごめく人々の描写など、さすがである。あわてて「小児を逆に負う」夫婦の図や、電灯が使えずランプが流行するなど、視点がじつに細かく有益だ。
◆『ゼロの血統』夏見正隆・著(徳間文庫/税込み740円)
SUNDAY LIBRARY:岡崎 武志・評『極私的ミステリー年代記』『アンリ・バルダ』ほか
ジブリ「風立ちぬ」の主人公・堀越二郎が設計した、新鋭戦闘機が「九六式」。夏見正隆による書き下ろし長編『ゼロの血統』は、この戦闘機を操り、空で闘う少年・龍之介の物語。北海道で羆撃ちの子として育った彼は、ある事件から父親が名うての戦闘機乗りであったと知る。父の遺志を継いで、龍之介は九六式のパイロットに。そんな彼に、満州国皇帝の娘を上海に運ぶという特命が! スケールの大きな筋立てとともに、空中戦の描写に息を?む。
◆『どうして私が「犯人」なのか』亀井洋志・著(宝島社新書/税込み840円)
これはとても怖い本。亀井洋志『どうして私が「犯人」なのか』は、過去に発生した「冤罪事件」を徹底取材し、その誤謬を糺す。2006年に高知で起きた白バイとスクールバスの衝突事故で、白バイ隊員が死亡。バスは停止していたにもかかわらず、急ブレーキ痕などが捏造され、運転手は実刑に。再審請求はいまなお続く。ほか、盗撮、傷害、横領、痴漢など、「公正な司法」が幻想であるn事実を読者は知る。明日は我が身の対策としても必読の書。
◆『「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓』奥山晶子・著(中公新書ラクレ/税込み777円)
生前から人生の終焉を見据え、葬儀やお墓の準備を自らがすることを「終活」と呼ぶ。『「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓』の奥山晶子は大学卒業後、葬儀社に数年勤務した経験を持つ。葬儀社に丸投げの葬儀はもう古い。小規模でオリジナルな「家族葬」のすすめや、「エンディングノート」の作成など、親子で、家族でコミュニケーションをとりながら、納得いく「死」の迎え方を提唱する。さまざまなパターン別プランもあり。
◆『冷泉家 八〇〇年の「守る力」』冷泉貴実子・著(集英社新書/税込み735円)
『冷泉家 八〇〇年の「守る力」』の「冷泉家」とは、藤原俊成・定家を祖とする「和歌の家」。都が東京へ移った維新後も京都御所の北に、昔の公家屋敷のまま住み、伝統と古式を守り続けている。著者・冷泉貴実子は、自身が冷泉家に生まれ、25代当主・為人夫人である。冷泉家では、ずっと「大事にせんとバチが当たる」「相変わらずで結構」といった教えが伝わり、日々の生活に活かされている。旧式を「守る力」に、「和」の根本が見える。
−−−−−
おかざき・たけし:1957年生まれ。高校教師、雑誌編集者を経てライターに。書評を中心に執筆。近著『上京する文學』をはじめ『読書の腕前』など著書多数
※3カ月以内に発行された新刊本を扱っています
<サンデー毎日 2013年9月29日号より>
幻妖の水脈 日本幻想文学大全
編:東雅夫
平成25・2013年9月10日第一刷 筑摩書房 ちくま文庫
A6判 カバー 602+4ページ 本体1300円
収録
押絵と旅する男
p426-453
初出:新青年 昭和4年6月増大号(第10巻第7号)
関連
解説
東雅夫
p596-602
▼筑摩書房:日本幻想文学大全I 幻妖の水脈
▼東雅夫の幻妖ブックブログ:『幻妖の水脈』収録作品一覧(2013年9月4日)
ウェブニュース
YOMIURI ONLINE
平成25・2013年9月11日 読売新聞社
TPP交渉の結果、「吾輩は猫である」がタダで読めなくなる?
Home > 新おとな総研 > 暮らしの知恵 > おとなの法律事件簿 > 記事
TPP交渉の結果、「吾輩は猫である」がタダで読めなくなる?
相談者 Y.Oさん
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イラストレーション・荒木田美咲
「まるでゴミ屋敷だね」と彼女はあきれ、それっきり会ってくれなくなりました。デートして3回目、「あなたの部屋が見たい」と彼女が言うので、喜び勇んで、寝るだけのワンルームマンションに招いたのでした。
彼女も驚いたことでしょう。活字中毒の私の部屋は、万年床のベッドの周り以外は、高層ビル状態で本が積んだままになっているか、倒壊した“ビル”の残骸が散らばり、避けて歩くのがやっとの状態でした。部屋の中には、かび臭さが漂っています。
悲惨な経験から立ち直ろうと最近話題の電子書籍リーダーを購入しました。電子書籍なら中身のデータを入れ替えるだけなので、場所をとらないだろうと思ったからです。これなら新しく彼女ができても、部屋に招くことができます。「本は手触りが大事」と思いこんでいた私にとって、一大決心でした。
実際に使ってみて「これは便利だ」と思いました。今までは、旅に出るとき、「何冊も本を持って行くのが面倒だなあ」と思っていました。ところが、電子書籍リーダーは、興味のある本を好きなだけダウンロードして、保存しておくだけです。場所もとらず、重くもなく、いつでもポケットから出して読めます。
さらに驚いたのが、名著をタダで読めることでした。スタジオジブリの映画で今話題になっている堀辰雄の「風立ちぬ」が無料で読めました。他にも「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「ヴィヨンの妻」「人間失格」「蟹工船」「舞姫」「杜子春」「羅生門」「銀河鉄道の夜」……と、青春時代に読んだことのある名著が全て無料になっています。最近では、これら無料の本を次々にダウンロードして、休日などに読み返しています。
ただ、最近、新聞で気になる記事を目にしました。日本がTPP交渉に参加した結果、これらの名著がタダで読めなくなるかも知れないというのです。TPPというと、農産品にかかっている関税がなくなって、日本の農業が打撃を受けるということから農業団体が反対しているのは知っていましたが、まさか、書籍にまで影響するとは思いませんでした。
そこで、今、電子書籍でなぜ古典がタダで読めるのか、またTPPがどう関わってくるのかを教えていただけますでしょうか。(最近の事例をもとに創作したフィクションです)
回答
TPP交渉参加の影響
青空文庫呼びかけ人の死
「青空文庫」の呼びかけの一人である富田倫生氏が8月16日にお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りしたいと思います。
青空文庫とは、日本国内において著作権が消滅した文学作品などを収集・公開している、利用に対価を求めないインターネット上の電子図書館のことです。ボランティアが作品をテキストデータにし、既に約1万2000もの作品が収録されています。利用に対価を求めないことから、大手電子書店の多くが、そのデータを基にして無料の電子書籍として活用しています。ご相談者が最近、次々にダウンロードして読んでいるという作品の多くは、この青空文庫から来たものなのです。
青空文庫の設立は1997年に遡りますが、その設立の趣旨が、「青空文庫の提案」として、次のように、サイトに掲示されています。
◇
「電子出版という新しい手立てを友として、私たちは〈青空の本〉を作ろうと思います。青空の本を集めた、〈青空文庫〉を育てようと考えています。青空の本は、読む人にお金や資格を求めません。いつも空にいて、そこであなたの視線を待っています。誰も拒まない、穏やかでそれでいて豊かな本の数々を、私たちは青空文庫に集めたいと思うのです。先人たちが積み上げてきたたくさんの作品のうち、著作権の保護期間を過ぎたものは、自由に複製を作れます。私たち自身が本にして、断りなく配れます。一定の年限を過ぎた作品は、心の糧として分かち合えるのです。」
その青空文庫が、ご相談者も指摘するように、日本のTPP交渉参加によって、まさに危機に直面しています。
死後50年は著作権による保護
小説、音楽、美術、映画、コンピュータプログラム等は、著作権によって保護されています。私たちは、著作権者に許諾を得ることなく、勝手に小説等の著作物を利用することはできないわけです。
ただ、著作権は無期限に保護されるわけではなく、著作権法第51条で、著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まり、原則として、著作者の死後(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者の死後)50年を経過するまでの間存続すると規定されています。これは、著作権者に一定期間利益を確保させた後は、文化的な所産としての著作物の利用を広く社会に開放して文化の発展に寄与すべきであるとの観点から規定されたものです。
著作権の保護期間が経過した著作物は、「パブリックドメイン(公共財産)」として、著作権の保護対象とならないため、著作権の使用料を支払う必要がなく、自由に使えることとなるわけです。
なお、著作者の死後50年を計算するにあたっては、著作者の死亡年月日の満50年目の日を終期とするのではなく、著作者の死亡した日の属する年の翌年1月1日から計算することとなります。1962年に死亡した柳田國男、吉川英治、室生犀星らの小説等は昨年12月31日で著作権の保護期間が切れ、今年から自由に使えるようになりました。柳田國男の「遠野物語」、吉川英治の「宮本武蔵」「鳴門秘帖」「三国志」、室生犀星の「愛の詩集」「幼年時代」等が今年から使用料を支払うことなく、自由に使用できるようになったのです。
今後、2015年には尾崎士郎、2016年には江戸川乱歩や谷崎潤一郎、2018年には山本周五郎、2021年には三島由紀夫らの有名作家の作品が、著作権の保護期間が切れて、自由に使用できるようになる予定となっています。
TPP交渉で70年に延長の可能性も
しかし、日本が「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)に参加することになり、その事前協議で、著作権の保護期間を現行の著作者の死後50年から、著作者の死後70年に延長する可能性が出てきています。著作者の死後70年の保護期間を設けている米国が強く延長を求めているためです。7月には、日本が著作権の保護期間を米国に合わせ延長する方針を決めたとの新聞報道につき、甘利経済財政・再生相が「具体的な協議をしたわけでも結論を出したわけでもない」とコメントする一幕もありました。
仮に、TPP交渉の結果、著作権の保護期間が70年に延長された場合、前述した尾崎士郎、江戸川乱歩、谷崎潤一郎、山本周五郎、三島由紀夫ら有名作家の作品が「青空文庫」に収蔵されなくなる可能性が高くなります。
また、著作権の保護期間が70年に延長する改正法が施行された場合、遡及して適用されるかも問題とされています。つまり、著作者の死後50年が経過して、既に「青空文庫」に収蔵されている作品についても、著作者の死後70年経過していない場合には、著作権の保護を再び受けるようになるのかという問題です。遡及するとされた場合、1948年に死亡した太宰治や1953年に死亡した堀辰雄らの作品についても著作権が復活することとなるため、「青空文庫」の収蔵数にも大きな影響を与え、電子書籍の普及にも障害となるとも考えられますが、この点については、今後のTPPでの交渉次第であり、いまだ不透明です。
TPP交渉の結果、「吾輩は猫である」がタダで読めなくなる?
著作権保護期間延長の及ぼす影響
さらに、著作権保護期間が延長されると、他にも幾つも問題が生じると考えられています。
1つは、日本が他国、特に米国に支払う著作権使用料が増加すると予想されていることです。現在、日本が米国に支払っている著作権使用料は、米国から受け取っている著作権使用料の4倍から5倍となっています。著作権使用料を支払わなければいけない作品が増加すれば、米国に支払う著作権使用料も増加することとなります。
2つめは、著作権者の所在が不明の著作物、いわゆる「オーファン・ワークス(「孤児作品」)」の問題です。権利者不明の作品であるからといって自由に使用していいわけではなく、権利関係の確認が必要ですが、保護期間が延長されれば、それだけ調査等に時間がかかることとなると考えられます。多くの人は、突然権利者が現れて高額の賠償請求をされるリスクや、調査の手間を考えると、その手の作品の利用に躊躇ちゅうちょせざるを得なくなります。その結果、現状でさえ、権利者不明の著作物が多数を占めている中で、そういった著作物の保存にも支障が生じることとなり、我々は過去の文化資産を喪失していくことにもなりかねません。
このような問題が生じるおそれがあることから、今後のTPPでの著作権保護期間延長の議論に注目が集まっているのです。
映画作品にも波及か?
報道によれば、TPPでの今回の議論は、「映画を除く」著作物の保護期間を問題とするものであり、映画の著作権保護期間の延長に関しては問題とされていないようです。
映画の著作物の保護期間は、日本では、公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは創作後70年)とされています(著作権法54条)。なお、2003年までは創作後50年とされていましたが、法改正により70年に延長されました。この法改正の際には、遡及しての法適用がなかったため、1953年までに公表された作品については、著作権使用料を支払うことなく使用することができるとされています(最高裁平成19年12月18日判決)。
よく書店などで、昔の名画が1本500円程度で販売されていますが、これは、上記のような事情で著作権使用料を支払わなくてもよいためなのです。
これに対して、米国における映画の著作物の保護期間は、法人著作物が対象で、公表後95年もしくは創作後120年のうち、保護期間の期限が切れるのが早い方とされています。
今後、TPPにおいて、映画の保護期間に関しても延長の議論が出てくる可能性もあります。仮に米国と同様に公表後95年とされた場合、1954年に公開の映画の著作権保護期間が切れるのは、30年以上も先になってしまい、著作権使用料を支払わなければならないので、1953年公表の映画のDVDのように廉価で提供することは難しくなると考えられ、その影響は大きいものとなるでしょう。
今後のTPP交渉の行く末に注目を
冒頭でご紹介した富田倫生氏は、TPP交渉による著作権保護期間の延長について、様々な場面で意見表明をしていました。
2012年12月のツイッターでは、「知財分野でアメリカは、保護期間の延長を始めとする、日本の著作権制度の根幹に関わる要求を並べている。しかも、社会の成り立ちに幅広い重大な影響を与えるだろうこの交渉は、秘密裏に、政府、外交担当者だけが関与して進められる。」「強化と維持、それぞれのメリットを比べて、それでも延長が選ばれるのなら、以もって瞑めいすべしと考えた。そうした大切なテーマが、社会のそこここにあり、攻防が繰り返されてきた。それらをまとめて、秘密の外交交渉の場に移し、最後にふたをあける運びに、強い違和感を覚える。」などと指摘しています。
我々も、今後のTPP交渉の行方については、報道で頻繁に取りあげられる農作物の関税撤廃問題ばかりに目をとらわれるのではなく、著作権保護期間の行く末についても十分に監視していく必要があると思われます。
著作権の保護は言うまでもなく極めて重要です。延長で創作意欲が高まる、著作者の妻子とその子(孫)の生存期間まで著作権が存続するようにすべきといった意見にも十分に耳を傾ける必要はあると思います。ただ、著作権の保護が過大なものとなってしまうと、「オーファン・ワークス」問題のように、過去の文化資産を損なう結果を招来する恐れもあるでしょう。前述のように、著作権法が、著作権の存続期間を限定しているのは、文化的な所産としての著作物の利用を広く社会に開放して文化の発展に寄与すべきであるとの観点からなのです。
保護期間が50年と70年のいずれが良いのかの議論とは別に、私たちも、今回のTPP騒動を契機に、青空文庫の意義や、著作権者の保護と文化の発展との調和の問題をじっくりと考えてみたいものです。
最後に、富田倫生氏が、昨年12月に開かれたシンポジウムにおいて、作品が将来にわたって残り、誰かの目と心に触れることこそが、作家にとって重要と語った上で引用した芥川龍之介の文章をご紹介したいと思います。
「けれども私は猶想像する。落莫たる百代の後に当って、私の作品集を手にすべき一人の読者のある事を。さうしてその読者の心の前へ、朧げなりとも浮び上る私の蜃気楼のある事を(原文ママ)」
※これまでの連載に大幅加筆した法律解説書「おとなのIT法律事件簿」が発刊されました。
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(2013年9月11日 読売新聞)
プロフィール
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蒲 俊郎 (かば・としろう)
弁護士(第二東京弁護士会所属)
城山タワー法律事務所代表 http://www.shiroyama-tower.com/
桐蔭法科大学院・教授
http://www.cc.toin.ac.jp/univ/law/teacher/kaba.html
桐蔭法科大学院・法科大学院長
http://www.cc.toin.ac.jp/univ/law/info/message2.html
日本法律家協会会員、日本私法学会会員、情報ネットワーク法学会会員他
専門分野は、電子商取引全般、労働事件(使用者側)、会社商事関係全般等
多数の企業の顧問弁護士として日々活動するほか、複数の上場するネット企業の社外監査役なども務める。他方、2010年4月、ロースクールのトップである法科大学院長に就任し、多忙な弁護士業務の傍ら、次の時代を担う法曹の育成にも注力している。
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