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Posted by 中 相作 - 2017.01.27,Fri
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 平成29・2017年1月22日 朝日新聞社

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは [著]歌野晶午
 末國善己
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書評

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは [著]歌野晶午

[評者]末國善己(文芸評論家)  [掲載]2017年01月22日   [ジャンル]文芸 人文 



著者:歌野 晶午  出版社:KADOKAWA 価格:¥ ---

■闇に切り込む、乱歩の意志継承

 日本のミステリー史に偉大な足跡を残した江戸川乱歩の名作を、スマホ、人工知能、拡張現実などの最新技術を使ってアレンジした短編集。著者は、約25年前に、発見された乱歩の未発表原稿にまつわる事件を描く『死体を買う男』を発表しており、満を持して再び乱歩に挑んだといえる。
 人気作家の涼花は、昔、創作の相棒だった男から脅迫される。セキュリティーが厳重な家に住む涼花の私生活を、なぜ男は知っているのかを軸に進む「椅子? 人間!」は、どんでん返しが連続する終盤が圧巻だ。
 カメラマンの私は、渋谷の道玄坂で小学生の聖也と出会う。2人が話していた時、正面の薬局の中で、店の娘が殺された。現場は密室状態で、娘の背中にはミミズ腫れがあった。表題作は、手掛かりを過不足なく使って繰り広げられる私と聖也の推理合戦が面白い。
 「陰獣幻戯」は、謎解き場面で明かされる鮮やかな伏線の回収に驚かされる。
 人ならぬモノへの愛を描いた「人でなしの恋からはじまる物語」は、乱歩の「人でなしの恋」をベースにしたと思っていたら足をすくわれるだろう。
 舞台「赤い部屋」の千秋楽で殺人事件が起きる「赤い部屋はいかにリフォームされたか?」は、ネタバレへの苦言があり耳が痛い。
 乱歩は怪奇幻想小説にも傑作が多く、本書に収録された7作の中には、幻想譚(たん)を題材にした作品もある。著者は『ブードゥー・チャイルド』『女王様と私』などのように、悪夢か妄想に思える状況を、トリックとロジックを使って現実に着地させる手法を得意としている。そのため、乱歩の世界と著者の持ち味が見事に融合していて、どちらのファンも満足できるはずだ。
 乱歩は、大学を出ても働かない高等遊民の増加、自己主張を始めた新しい女に男性が感じていた恐怖などを作品に織り込んだ。本書はこうした問題意識も継承していて、現代の闇に切り込んだのも見事である。
    ◇
 うたの・しょうご 61年生まれ。作家。『葉桜の季節に君を想うということ』『密室殺人ゲーム2.0』など。
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