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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.04.20,Sat
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Posted by 中 相作 - 2014.09.06,Sat
猟奇 4月号
 昭和5・1930年4月1日 第3年第3輯 猟奇社
 A5判 64ページ 20銭

関連
れふき
 p12-13

再録:「猟奇」傑作選 幻の探偵雑誌6(p353-355) ミステリー文学資料館編 光文社文庫 平成13・2001年

猟奇倶楽部殺人事件[四月馬鹿集]
 山田茂夫
 p19-24
江戸川乱歩ママに対する私の感想[猟奇文壇あらべすく-各人カリカチユウル-]
 夢野久作
 p28-34

再録:夢野久作全集11(p19-29) ちくま文庫 平成4・1992年 > 青空文庫

しやべらぬ乱歩[猟奇文壇あらべすく-各人カリカチユウル-]
 春日野緑
 p34-35
編集手帖
 p64

猟奇倶楽部殺人事件[四月馬鹿集]

山田茂夫  

 〔略〕
    会員江戸川乱歩の陳述
 僕は本名を平田一郎と云ふ。陰獣である。僕自身二銭銅貨を拾つたのか運の付き初めであるので、それ以来銅貨を崇拝することにしてゐる。阿笠栗捨子にも先日そつと二銭銅貨を握らしたら、彼女は最初は五十銭銀貨だと思つたらしく嬉しさうだつたが、それが二銭銅貨だと知るや、
 「私は女給ぢやありません。タイピストです。チツブなんか要りません。」
と偉い剣幕だつた。それ以来僕は二銭銅貨の魔力を解しない彼女を軽蔑することにした。こん度の事件は、疑はしい者に対して宜しく心理試験をやるべきである。僕は大丈夫だ。あの悲鳴を聞いた時には喫煙室に居たから完全にアリバイが成立してゐる。
 〔略〕

しやべらぬ乱歩[猟奇文壇あらべすく-各人カリカチユウル-]

春日野緑  

◇……変態小説家の乱歩が、好んで深夜の浅草をうろついたり、よその家の屋根裏なんかを調べたりしたつて、今では誰も珍らしがらないだらう。
◇……彼は人の話を聞く事はバカに好きだが、自分でしやべる事は嫌ひのやうだ。彼がおしやべり嫌ひなばつかりに、僕はどれ位弱つたか知れん……といふのは、もう六、七年も前になるが、大阪で「探偵趣味の会」を作つた時分の事だ。いつの会合にも僕は司会者として何か皆にしやらべママなければならない、折角皆が集まつて、何か異常な怪奇でも待ちかまへてゐるやうな変質者ぞろひの会員を前にして、僕みたいな善良な育ちの男には、そうそう奇抜な話ができるものではない。
◇……第一、僕自身がおしやべりは下手なのだ。で、いつの場合にも、僕は弱つた。が、僕以上に彼は弱つてしまつて、何かといふと尻込みをする。大体あの「探偵趣味の会」は、彼が始めて僕の家(その頃は大阪玉出にあつた)へ来て二人で相談して決めたものなのだから、彼だつて発起者であり、司会者たるべき人間なのに、僕ばかりエライ目を逢はされたのは──僕がそういふ事の好きな人間なら今さらこんな事はいはないが──弱つたことであつた。
 〔略〕

 名張人外境:乱歩文献データブック > 昭和5年●1930
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