書籍：ミステリは万華鏡

書籍

 

ミステリは万華鏡

　北村薫

　平成22・2010年3月25日初版　角川書店　角川文庫16183

　A6判　カバー　282＋索引9ページ　本体590円

　初刊：1999年5月30日　集英社

　旧版：2002年9月25日　集英社　集英社文庫

　初出連載：小説すばる　1997年11月号─1999年4月号

 

関連箇所

第1章　万華鏡とミステリ

　p13ー26

 

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第1章　万華鏡とミステリ

 

　1

 

　よくいうことだが、薔薇が先にあったわけだ。それを指す《薔薇》という名前は、後から出来たことになる。落語に出て来る《寿限無》君にしても、彼が誕生したので、名前をどうつけようか、となった。

　さて、『ミステリは万華鏡』というのも、《何か、ミステリを中心に自由に書きませんか》というお話が生まれ、そこで、《では題をどうしましょう》となった。首をひねりつつ、《それにしても、昨今のミステリは多様ですね》といったところ、《では、取り敢えず、こうしましょう》と決まった。──決まってしまえば、もう、《取り敢えず》ではなくなった。

　名前もついたところで、赤ちゃんは育って行く。自然、題に導かれて、出だしも万華鏡のことになる。実は、わたしは小学生の頃、図工の時間に万華鏡を作った記憶があるのだ。

 

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角川書店：ミステリは万華鏡