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Posted by 中 相作 - 2012.10.17,Wed

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映画・エンタメガイド

 平成24・2012年10月12日 日本経済新聞社

 

『推理作家ポー 最期の5日間』監督「ジョン・キューザックにはダークな一面」

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『推理作家ポー 最期の5日間』監督「ジョン・キューザックにはダークな一面」

 

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ジェームズ・マクティーグ監督(メイキング)

©2011 Incentive Film Productions, LLC. All rights reserved.

 

 本名の平井太郎のままではこんなにも有名にならなかったかもしれない江戸川乱歩。その名前から筆名を付けた乱歩をはじめ、シャーロック・ホームズを生み出したコナン・ドイルら多くの作家だけでなく、映画や音楽にまで影響を与えている米国の作家エドガー・アラン・ポー。推理小説の祖と言われる孤高の作家ポーは1849年10月7日に不遇なまま40年でその生涯を終えたが、その死の真相と最期の日々は現在も謎に包まれている。そのポーの最期の数日間を史実とフィクションを融合した大胆な発想で描いたのが『推理作家ポー 最期の5日間』だ。 

 

 小説模倣犯からの挑戦を受けるポーを主人公に、命を賭けた頭脳ゲームが展開するミステリーに挑んだジェームズ・マクティーグ監督は、「僕自身、もともとポーのファンだったし、ポーの人生そのものと彼の作品が巧みに交差するストーリーにも大いに惹きつけられた。作品のほとんどが短編小説だったことや、彼の人生がかなり陰鬱で悲惨なものだったこともあって、ポーを題材にした映画の決定版、といったような作品がこれまでになかったという点でも意義あるチャレンジになると思ったし、彼の人生と物語を組み合わせて、今までにないユニークな映画が出来るんじゃないかと思ったんだ」と話す。

 

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メイキング

©2011 Incentive Film Productions, LLC. All rights reserved.

 

 本作の原題は『THE RAVEN』。1845年にイブニング・ミラー紙が掲載、ポーを一晩で有名にしアメリカでは教科書にも載っているというポーの詩「大鴉(The Raven)」からタイトルは付けられた。マクティーグ監督は、「タイトルをあの詩からとったのは、この映画のスピリットを最も端的に表現していると思ったからだ。全編を通し鳥のモチーフが登場することでも、あの詩がもつ“ムード”のようなものを感じてもらえるはずだ」と説明する。 

 

 そして「『大鴉』は彼の名前を聞けば誰もが真っ先に思い浮かべる1番の代表作だし、ポーのことをよく知らない人でも、タイトルを聞いて『そうか、エドガー・アラン・ポーの映画なんだな』といった具合に興味を惹かれて、劇場に足を運んでくれるんじゃないかという期待もあった。広く一般に知られた人物やキャラクターを一種の“ブランド”として売り込みに使う、というハリウッドの常套手段を、僕なりに試してみたというわけさ」とタイトルの狙いを話す。 

 

 また本作が「大鴉」から受けた影響については次のように解説する。「美と恐怖が巧みに混在するというのがポー作品の特徴だと思うんだけれど、この詩はまさにその最たる例だ。この映画でも、美しさ、愛、おぞましさ、といった一見対照的な要素が入り混じる彼独特の世界観を目指したつもりだよ。多種多様なジャンルがごちゃまぜになっているという点でも、この詩を含めたポーの作品と重なる部分があるんじゃないかな。時代の風潮を巧みにとらえた『大鴉』にはエンターテイメント的要素も大いにあるし、当時の大衆の間で人気を博したのも納得出来る。ポーは時代の気風を敏感に読み取って、人々が求めるエンターテイメントを提供するのに長けていたんだ。そんな彼に習って、この映画も今の観客に喜んでもらえるようなエンターテイメント作品に仕上げたつもりだ」。 

 

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©2011 Incentive Film Productions, LLC. All rights reserved.

 

 ポーを演じたのは、『2012』『シャンハイ』のジョン・キューザック。マクティーグ監督はジョンにはダークな面があると指摘する。「ジョンはバラエティ豊かなジャンルの映画に出演してきた素晴らしい俳優だけど、彼のダークな部分が存分に活かされた作品はこれまでになかったように思う。意外かもしれないけれど、ジョンはアメリカの有名な作家ハンター・S・トンプソンやイギリスのアーティスト、ダミアン・ハーストといったダークな作風で知られる人々と親交が深くて、彼自身もかなりダークな一面を持ち合わせているんだ。そういった彼の側面をつつけば、興味深いポー像が出来上がるんじゃないかと思ったし、本人も大いに乗り気で役作りに熱を注いでいたよ」。 

 

 ジョンの役作りについては、「やつれた風貌にするため減量して髪をボサボサにしたり、ゲッソリした顔に見せるために不健康そうな黄色いメイクを施したりと、見た目的にもあれこれ工夫を凝らしていたけれど、実際のポーに似すぎていないのがよかったね。外見をそっくり真似するのではなく、もっと内面的な、ポーの“精神”のようなものを体現していたのが素晴らしかった」と称賛。 

 

 そして「『ポーは実際にこんな事を言っていた』とか『実際のポーならこんな風には振る舞わないだろう』とか、ジョンとはあれこれ話し合ったとは言え、彼が演じるのはあくまでポーをベースにした想像上のキャラクターであって、そっくりそのままポーというわけじゃないし、映画のストーリーにしても史実に基づいているわけじゃないからね。この映画に登場するポーは、殺人鬼によって自らの小説の世界に身を投じ、危険なゲームに巻き込まれる哀れな1人の男というだけだし、ポーをめぐる歴史上の事実や出来事を忠実に再現しようだなんて、はなから考えていなかったよ」と続ける。 

 

 ポーのような複雑な人物を映画化するにあたっては、実際のポーが持つダークな部分に注目したようだ。「実際のポーは、博打や女グセ、酒や麻薬といった悪癖がたたって、1歩進んでは2歩下がるような生活を繰り返していた、いわばどうしようもない男だった。善い行いをしようとする度、心に抱えた闇の部分が邪魔して挫折してしまうんだ。そのダークな部分こそが彼の作品に秀逸な深みを与えていたというのは、すごく皮肉なことだよ。彼の複雑さは、自らそういった心の闇に飛び込んでいくことで形成されたものだし、この映画における人物像を作り上げる際にもダークな部分は避けて通れないと分かっていた。そういった側面ばかりを取り上げて陰鬱になり過ぎるのは避けるようにしたけれど、冒頭シーンの黒猫や波止場の鉄錠門を哀しげに見つめたりする彼の姿を通して、キャラクターの性格や思考の複雑さを感じさせると同時に、実在したポーの面影をスクリーンに醸し出すよう心がけたよ」。 

 

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©2011 Incentive Film Productions, LLC. All rights reserved.

 

 『マトリックス』シリーズや『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』の第一助監督などを経て、『Vフォー・ヴェンデッタ』や『ニンジャ・アサシン』の監督を務めたマクティーグ監督。林の中での銃撃シーンやエンドロール中の映像など、スタイリッシュな演出が印象的だが、演出の意図については次のように話す。 

 

 「僕自身の映像スタイルとポーの作品のスタイルは、暗闇の影に潜む存在に焦点を当てるといった点で、似通った部分があると思うんだ。この映画では撮影監督のダニー・ルールマンと共に、全体を通して黒い空間を強調したヴィジュアルを目指した。コントラストがはっきりした、ある種グラフィック・ノベルのようなスタイルだ。『Vフォー・ヴェンデッタ』や『ニンジャ・アサシン』といった過去の作品とこの映画を比べてみても、同じ監督が撮ったものだとすぐわかるような、明確なヴィジュアル・スタイルが自分にはあると思うし、それぞれまったく異なるタイプの映画だとは言え、ヴィジュアルの面では一貫しているような気がするよ。今回は題材的にも暗闇や影といったダークさが中心だから、そういったスタイルがマッチしたというのもあるだろうね」。 

 

 日本のファンに向けて「日本の観客は僕がこれまで手掛けた作品も熱狂的に支持してくれたし、すごく感謝しているんだ。今までの作品とはちょっと毛色が違うとは言え、この映画にはホラーや心理スリラー、アクションといった日本で人気の高いジャンルの要素が詰まっているし、『落とし穴と振り子』をモチーフにした殺人などショッキングなシーンも含めたスリリングなストーリー展開に、日本の観客もきっと喜んでくれるはずだよ」とメッセージを寄せたマクティーグ監督。「『モルグ街の殺人』、『落とし穴と振り子』、『アモンティリャードの酒樽』といったポーの短編は、脚本の段階からすでにストーリーに組み込まれていたものだけど、映画をよく注意して観れば、『黒猫』や『跳び蛙』などの他の作品も、さりげなく練り込まれていることに気付くはずだよ」と話すように、ポーの小説や詩が登場する本作には画面中に隠されたヒントや表示を解読する楽しみもある。まさに推理作家ポーが主人公らしい映画だ。(2012年10月12日・A) 

 

『推理作家ポー 最期の5日間』は2012年10月12日(金)、丸の内ルーブルほか全国ロードショー

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